手元の500万円で住宅ローン繰上返済するのか、資産運用にまわすのか

繰上返済、資産運用

住宅ローン支払中で、なおかつNISA等の資産運用も行っているとして、手元にまとまった現金がある場合、それを繰上返済するのか、資産運用にまわすのか迷うことがあると思います。

住宅ローンをどう捉えるかにもよると思いますが、あなたの住宅ローンに対するイメージはどんなものでしょうか?

住宅ローンとは、

・単なる借金
・投資
・精神的負荷(マイナスイメージ)
・家賃のようなもの
・仕事へのモチベーションになる(プラスイメージ)
・住宅ローン控除で税金が安くなる
・団信があるので保険の意味もある
・家族への貢献
・長期ローンなんてバカバカしい
etc…

数字の面だけで考えれば、住宅ローン金利を上回る利回りで運用ができるなら投資にまわせばいいし、運用せず確実に借金と利息を減らしたいなら繰上返済すればよい、ということになります。

たとえば住宅ローン3000万円を金利1.5%、25年で借りたとして、すぐに500万円を繰上返済すると利息分は約200万円節約できる計算になります。

一方、500万円を複利1.5%で25年間運用できると725万円になり、約225万円増えることになります(税金考慮せず)。

ただ、現状では1.5%以上で確実に運用できる金融商品はないと思いますので、株式や投資信託を利用することになると思いますが、500万円を一気に全額投資をするのはリスクが高く、誰にでもお勧めできるものではありません。

もし手元にまとまった数百万円以上の資金があるなら、繰上返済と積立投資の比較で考えるのが妥当かなと思っています。

一気に投資するのではなく、年間数十万円~ずつなどタイミングを分散して投資することで、運よく底値で投資できるチャンスも失いますが、かわりに運悪く高値づかみをしてしまうことも回避しやすくなり、比較的ブレの少ない資産運用が可能になると考えています。

目次

繰上返済と積立投資をライフプラン表を作成して検証する

積立投資が繰上返済よりも効果が高いのかどうかは、ライフプラン表をつくり検証してみると分かりやすいと思います。

貯蓄(金融資産)の状況も年々変わるでしょうし、家計全体から見て投資額が過大でないか、バランスが妥当かなども確認する必要があります。

ライフプラン表を作成すれば、期待利回りを設定し、資産運用をする場合と、繰上返済をして削減できる利息を比較することも可能です。

住宅ローン控除との兼ね合い

また、「住宅ローン控除」の期間が残っている場合は借入残高に対して1%などを上限に所得税・住民税が節減されますから、この兼ね合いも考える必要があります。

たとえば500万円を繰上返済することで500万円×1%の節税枠が減ると、所得税・住民税の額にもよりますが年間5万円分損することにもなりかねません。

余裕資金は十分か

繰上返済してしまうと手元からその分の現金がなくなります。一方、資産運用に回しておけば、いざというとき解約して現金化することも可能です。「余裕資金」が乏しい場合または数年内に大きな支出を控えている場合に、安易な繰上返済は逆に家計を苦しめるリスクもあるといえます。

ケーススタディ

↓主な前提条件
・夫婦36歳、子供2人
・5年前に3500万円を2.0%、35年ローンで借りている。
・現在の借入残高3037万円。
・現金が1000万円ある。
・手取年収500万円、所得税・住民税合計57万円。


↑繰上返済も積立投資もしない場合の金融資産推移。

90歳時点で「1488万円」残るシミュレーションとなっています。

▼500万円を繰上返済(期間短縮)する場合

手元にある現金から500万円を繰上返済すると、357万円の利息節減、74か月(6年2か月)の期間短縮という計算になります

つまり、500万円を繰上返済すると90歳時点での金融資産残高は、先ほどの1488万円357万円の利息軽減効果をプラスして、1488+357=「1845万円」となります。

繰上返済効果は357万円ですね。

▼100万円×5年間の積立投資をする場合

繰上返済せず、100万円ずつ5年間に分けて資産運用をする場合、各期待利回りごとの90歳時点での金融資産残額は以下の通りとなりました。

想定利回り3%→90歳時点の金融資産「3315万円
資産運用効果は3315万円-1488万円=1827万円

期待利回り4%→90歳時点の金融資産「4837万円
資産運用効果は4837万円-1488万円=3349万円

想定利回り5%→90歳時点の金融資産「7324万円
資産運用効果は7324万円-1488万円=5836万円

まとめてみます。
ローン残高3000万円強、金利2.0%、残期間30年、36歳の人が500万円を繰上返済するか積立投資をするかの比較

・500万円を繰上返済→357万円のプラス効果
・100万円×5年積立投資、3%で運用→90歳までに1827万円のプラス効果
・100万円×5年積立投資、4%で運用→90歳までに3349万円のプラス効果
・100万円×5年積立投資、5%で運用→90歳までに5836万円のプラス効果

資産運用の効果を知れば、繰上返済で節約できる分が小さく感じてしまいます(^^;)

500万円を50年以上かけて上記のように3%~5%で運用できるとかなり大きな金額になりますね。

ただし、資産運用には当然リスク(不確実性)が伴いますし、途中で現金が必要になり解約すればそこで投資効果は終わり、となります。そういう懸念がある場合で確実性を望むなら住宅ローンの繰上返済がよいのかもしれません。

色々と上記のようにシミュレーションをしてみると考え方が整理されて意思決定しやすくなると思います。

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