住宅を購入して住宅ローンを組むと、2021年購入・入居なら10年間、年末のローン残高の1%の範囲で40万円を限度に所得税(控除しきれない分は住民税も)が戻ってくる住宅ローン減税。
たとえば年収700万円で配偶者も一定の収入があって配偶者控除がない場合、所得税は年間30万円程、住民税は37万円程になります。
もし4000万円程の住宅ローンを組んだ場合、4000万円×1%=40万円の範囲で所得税(控除しきれない分は住民税から)が確定申告や会社の年末調整で還付されるというわけですね。
一方、住宅ローンの繰上返済については早く実行すればするほど利息の軽減効果が高いとされていますので、繰上返済をした方がよいのか、または住宅ローン控除の期間は繰上返済しない方が良いのかよく分からないという方もいると思います。
そこで以下の条件で、繰上返済をする場合としない場合、どちらが得なのかを考えてみたいと思います。
・年収700万円(10年間一定とする) ・所得税30万円、住民税37万円(10年間一定とする) ・住宅ローン4000万円、固定金利1.3%、35年 |
(▼単位:万円)
CASE① 繰上返済なし | CASE② 返済0回後に 500万円繰上 | CASE③ 返済60回後に 500万円繰上 | ||||
返済回数 | 0回減 | 返済回数 | 64回減 | 返済回数 | 60回減 | |
減少利息 | 0 | 減少利息 | 261 | 減少利息 | 214 | |
残高 | 減税額 | 残高 | 減税額 | 残高 | 減税額 | |
1年目 | 3909 | 39 | 3404 | 34 | 3909 | 39 |
2年目 | 3817 | 38 | 3306 | 33 | 3817 | 38 |
3年目 | 3724 | 37 | 3206 | 32 | 3724 | 37 |
4年目 | 3629 | 36 | 3104 | 31 | 3629 | 36 |
5年目 | 3534 | 35 | 3002 | 30 | 3534 | 35 |
6年目 | 3437 | 34 | 2898 | 29 | 2933 | 29 |
7年目 | 3339 | 33 | 2793 | 28 | 2828 | 28 |
8年目 | 3239 | 32 | 2686 | 27 | 2722 | 27 |
9年目 | 3138 | 31 | 2578 | 26 | 2614 | 26 |
10年目 | 3036 | 30 | 2468 | 25 | 2505 | 25 |
合計 | 348 | 合計 | 555 | 合計 | 536 |
CASE①繰上返済なし
1~10年目のローン残高の自然減に応じて、その1%の税額控除となり、10年間の合計減税額は348万円となります。
CASE②ローン開始前にいきなり500万円を繰上
ローン返済が始まる前にいきなり500万円を繰上返済してしまうという極端なケース。
この場合、住宅ローン返済を一気に1回目~64回目をショートカットしつつ、利息が261万円圧縮されます。
ローン減税効果は348万円→294万円になりますが、10年間の減税額と利息軽減効果を合わせると555万円のプラス効果となります。
CASE③5年経過後に500万円を繰上
5年(60回)ローンを払った後に500万円を繰上返済するケース。
この場合、住宅ローン返済は61回目~120回目までの60回分ショートカット。
ローン減税効果は、繰上返済をしない場合に比べて348万円→322万円と若干減少。
それでも10年間の減税額と利息軽減効果を合わせると536万円のプラス効果となります。
以上のことから、金利1.3%程度ならば、住宅ローン減税期間であっても早めに繰上返済をする効果の方が高いという結論になります。
ただし、金利が低くなれば、その分、利息軽減効果も薄れますので、実際に試算してみて検討するとよいでしょう。
自分でつくれるエクセル・ライフプラン表では、入力シートの住宅ローン試算と、住宅ローン返済表シートをつかって、繰上返済効果を確かめることもできます。
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