40~50年後のことなのでまだ先の話のようだが、日本では65歳以上の高齢者の割合が、現在(2020年代)の29%から、2070年頃には39%まで上昇する見込み。
いまでも「老老介護」が問題になっているが、今後ますます拍車がかかる。
なお、現在の高齢化率29%は平均値であって、地方ではすでに高齢化率が4割程になっていて、2045年頃には5割が65歳以上の高齢者になる自治体もある。
高齢者の割合が増えれば、財政収支は悪化する。
行政サービス側からすれば、コスト削減が必要になる。
医療費の抑制、コンパクトシティ化(インフラコスト削減)、年金削減などが必要になる。
将来高齢者になる私たちとしては、
自助努力として、iDeCoやNISAなどで資産形成するとか、ある程度自給自足することも有効かもしれない。
高齢化社会の主な問題5つ
高齢化社会には主に次のような課題がある。
1.年金・社会保障の負担増加
高齢者の増加に伴い、年金や医療、介護などの社会保障制度への負担が増加。経済的なバランスが崩れ、制度の持続可能性が懸念される。
2.医療・介護の需要増加
高齢者の増加に伴い、慢性疾患や認知症などの需要が急増する。医療・介護のニーズが増加し、適切なサービスを提供するためのインフラや人材不足が深刻化する。
3.労働力不足
若年層の減少や就業人口の減少により、労働力が不足。これが経済において様々な課題を引き起こし、企業の生産性や国の競争力に影響を与える。
4.孤独死や社会的孤立
高齢者の中には孤独死や社会的孤立に悩む人が増加。家族構造の変化や地域社会の希薄化により、高齢者が孤立しやすくなっている。
5.地域コミュニティの弱体化
地域から若年層が少なくなり伝統的な祭りなどの文化が廃れ、結束が弱まり地域コミュニティが弱体化、悪循環につながる。
高齢化社会を打破するには若年層を増やすしかないが、教育費・養育費、住居費、その他生活費のインフレや、共働きによる時間的制約、婚姻率の低下、「結婚して子供を持つことばかりが人生ではない」という価値観の変化など、少子化に陥っている強固な構造を変えるのは簡単ではない。
他国の先進例のように家庭に子供が増える程、生活が経済的にどんどん楽になるような仕組みの導入が待たれる。
たとえばどこかの地域を特区として社会実験してみるべき時期に来ているのではないか?
高齢化率の現在の状況と将来推移予測
65歳以上を高齢者と捉えた場合、現在の高齢化率は約29%
これが約50年後には39%になる見込み。(その頃私も生きていれば高齢化の一因になっている)
日本は人口全体が減っていくなかでも高齢者の総数はさほど減らないために高齢化率がどんどん上がっていく。
いまでは65歳を過ぎても働く人の割合が増えているが、それでも高齢者になると健康上の問題が増えて、どちらかといえば助ける側より助けられる側になる。
医療費や介護費を抜本的に改革しなければ国の借金が減ることはなく国力低下、国の魅力低下、富裕層が日本を避ける、相対的な国の地位低下、生活の質低下、治安の悪化・・という悪循環に陥る可能性がある。
要介護者の将来推移予測(人数と割合)
高齢になればなるほど誰かの助けが必要となる要介護状態となる確率が高まる。
<各年齢層と要介護者数の関係>
2020年時点の65歳以上の人口は3585万人、そのうち要介護者は671万人の19%。
65歳以上の約2割が要介護になるらしい。
2020年の人口12500万人に対し、要介護者671万人。その割合は5.4%
同じような計算をすると、
2030年の人口12000万人に対し、要介護者700万人。その割合は5.8%
2040年の人口11300万人に対し、要介護者750万人。その割合6.6%
2050年の人口10500万人に対し、要介護者740万人。その割合6.5%
2060年の人口9600万人に対し、要介護者700万人。その割合7.3%
2070年の人口8700万人に対し、要介護者640万人。その割合7.4%
全人口に対する要介護者の割合は少しずつ増えていく。
一方で介護をする側の人材は減っていく。今でさえ介護職は薄給で厳しい仕事と言われるため、何か構造的な改革が必要。
高齢化率の国別ランキング
2022年GLOBAL NOTEの情報によれば世界の高齢化率の平均は9.81%
つまり10人に1人が65歳以上、というのが平均値らしい。
日本は29.9%で世界2位。高齢者の割合は10人に3人。
1位のモナコは人口4万人の世界で2番目に小さい国なので、実質的には日本が高齢化率1位といっていい。
世界地図で表すと、日本の色が濃いのが分かる。
比較的北半球の先進国、欧米の高齢化率が高い。
アメリカで17.1%、人口大国の中国は13.7%。
日本の約3割はやはり突出している。
順位 | 国名 | 単位:% |
1 | モナコ | 35.9 |
2 | 日本 | 29.9 |
3 | イタリア | 24.1 |
4 | フィンランド | 23.3 |
5 | プエルトリコ | 22.9 |
6 | ポルトガル | 22.9 |
7 | ギリシャ | 22.8 |
8 | ドイツ | 22.4 |
9 | ブルガリア | 22.4 |
10 | クロアチア | 22.4 |
13 | フランス | 21.7 |
32 | スイス | 19.3 |
33 | イギリス | 19.2 |
42 | 韓国 | 17.5 |
44 | 米国 | 17.1 |
55 | ロシア | 15.8 |
67 | 中国 | 13.7 |
120 | インド | 6.9 |
217 | ウガンダ | 1.7 |
世界計 | 9.8 |
高齢化率の都道府県別ランキング
日本の都道府県別、高齢化率は、秋田県がトップで38.1%、最も低いのが東京都で22.9%となっている。秋田県は既に日本の50年後を先取りしてしまっている。
約20年後(2045年)の高齢化率予測もでており、全ての都道府県で高齢化率は上昇、概ねどの地域でも4割~5割が65歳以上の高齢者ということになってしまう。
2021年 (%) | 2045年 (%) | ||
1 | 秋田県 | 38 | 50 |
2 | 高知県 | 36 | 43 |
3 | 山口県 | 35 | 40 |
4 | 徳島県 | 35 | 42 |
5 | 島根県 | 35 | 40 |
6 | 青森県 | 34 | 47 |
7 | 山形県 | 34 | 43 |
8 | 岩手県 | 34 | 43 |
9 | 和歌山県 | 34 | 40 |
10 | 大分県 | 34 | 39 |
11 | 愛媛県 | 34 | 42 |
12 | 長崎県 | 34 | 41 |
13 | 新潟県 | 33 | 41 |
14 | 宮崎県 | 33 | 40 |
15 | 鹿児島県 | 33 | 41 |
16 | 富山県 | 33 | 40 |
17 | 鳥取県 | 33 | 39 |
18 | 北海道 | 33 | 43 |
19 | 福島県 | 32 | 44 |
20 | 長野県 | 32 | 42 |
21 | 香川県 | 32 | 38 |
22 | 奈良県 | 32 | 41 |
23 | 熊本県 | 32 | 37 |
24 | 山梨県 | 31 | 43 |
25 | 佐賀県 | 31 | 37 |
26 | 福井県 | 31 | 39 |
27 | 岐阜県 | 31 | 39 |
28 | 岡山県 | 31 | 36 |
29 | 群馬県 | 31 | 39 |
30 | 静岡県 | 31 | 39 |
31 | 三重県 | 30 | 38 |
32 | 茨城県 | 30 | 40 |
33 | 石川県 | 30 | 37 |
34 | 広島県 | 30 | 35 |
35 | 栃木県 | 30 | 37 |
36 | 京都府 | 30 | 38 |
37 | 兵庫県 | 30 | 39 |
38 | 宮城県 | 29 | 40 |
39 | 福岡県 | 28 | 35 |
40 | 千葉県 | 28 | 36 |
41 | 大阪府 | 28 | 36 |
42 | 埼玉県 | 27 | 36 |
43 | 滋賀県 | 27 | 34 |
44 | 神奈川県 | 26 | 35 |
45 | 愛知県 | 26 | 33 |
46 | 沖縄県 | 23 | 31 |
47 | 東京都 | 23 | 31 |
これは大きな問題・・
人口の多い東京が30%であることで、日本全体の高齢化率が平均化され、50年後までに約4割の高齢化率、ということなるが、東京と「それ以外」という図式が鮮明になりそう。
(それまでに首都圏巨大地震や富士山噴火などの大災害がなければ。)
高齢者における主な介護制度
要支援や要介護と認定されて、所定の介護サービスを受ける場合、65歳以上であれば収入等に応じて、その自己負担額はサービス料の1~3割となる。年金しか収入がないという場合はほとんどケースで1割負担で済むだろう。
高齢化率の影響に備えた社会基盤強化の必要性
高齢化率の増加は、社会全体に様々な影響をもたらす可能性がある。そのため、以下のような社会基盤の強化が必要になる。
1.医療・介護施設の充実
今でも医療・介護施設施設は増え続けているが、高齢化率の増加に応じてさらなる施設数や従事者の増加が必要になる。
2.交通・移動手段の改善
老齢により歩行や車の運転が困難になる。そのため公共交通機関のアクセシビリティ向上や、歩行者や車いす利用者向けのバリアフリー施策が求められる。
3.住宅環境の整備
高齢者向けのバリアフリー住宅だけでなく、町全体の住環境の整備が必要。身体機能が衰えても快適に暮らせる仕組みが求められる。
4.働き方の柔軟化
65歳以上の高齢者といっても健康な人はたくさんいる。彼らを労働力の一部として有効に活用するために、働き方の柔軟化や仕組みの改革が必要。これにより、経済への貢献を促進し、社会の持続可能性を高められる。
5.社会参加の促進
一人暮らし高齢者の孤独や孤立感を緩和するため、コミュニティ活動や趣味など、社会参加を促進する施策が必要。
これらの要素を戦略的に整備することで、高齢化率増加の弊害を緩和し、生きがいのある生活が維持され、社会全体の持続可能性が確保される可能性が高まる
高齢化率と大介護時代への対応まとめ
安心・快適な生活を守るため日本は、抜本的な高齢化率への対策(インパクトのある少子化対策等)を行うか、でなければ増加する高齢化率に対して、戦略的な対策を講じなくてはならない。
高齢化率の増加が止められないとすれば、増加する介護需要に対応できるだけの施設・サービスを拡充していくしかない。コンパクトシティ化して無駄を省き、できるだけ少ないコストで大きな効果を生み出していく生産性の改善が重要になる。
一方で、NISAやiDeCoなど自助努力によって一定の資金をつくっておく必要もあると思う。老後2000万円問題などと言われるが、正直それではぜんぜん足りないと思う。自分や家族を守るために4000~5000万円くらい貯めるとか、70代を過ぎても働く心構え、または相応のスキル確保が欠かせない。
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