住宅ローンの妥当な年収比率は?
住宅ローンを組む際に、返済額が安全圏かどうかを確認するための目安のひとつとして住宅販売会社または銀行等から「年収比率」の話をされることがあると思います。
たとえば、4000万円、固定1.3%、35年ローンの場合の年間返済額は142万円です。
税込み年収が700万円の場合、142万円÷700万円=”返済比率20.3%”となります。
住宅ローンの返済比率は一般的に年収の20%以内が安全圏と言われますので年収700万円に対して4000万円のローンは返済比率の点でギリギリといった感じです。
一方、住宅金融支援機構のフラット35を借りる際の返済比率は以下のようになっています。
年収基準 | ※返済比率 |
年収400万円未満 | 30%以下 |
年収400万円以上 | 35%以下 |
(※自動車ローン、教育ローン、カードローン、クレカ利用も含む)
フラット35の基準を見てしまうと返済比率は30%とか35%でもよいのかと錯覚してしまいますが、これはあくまで融資基準のひとつに過ぎません。
最近は首都圏の新築物件だと5000万円~1億円でも普通、という感じで10~20年前に比べて倍近くになっている印象です。
地方の住宅でも20年前は坪単価40~50万円台だったハウスメーカー建物が60~80万円台になっています。
年収比率で考えると希望の物件に手が届かないこともあるかもしれませんが、一度購入してしまうと上手く売却できたり上手く賃貸に出したりできない限り、後戻りできないリスクがありますので、年収比率という観点では、まずは税込み年収の20%以内、手取りの25%以内くらいを目安に考えておくことが一つのポイントかと思います。
夫婦合わせればラクラク返せると思っても、どちらかが働けなくなったとか、離婚などがあると返済が厳しくなるかもしれないので一応考えておくとよいかもしれませんね。
住宅ローン借入額4つのチェックポイント
住宅ローンを組む際には、年収比率のみならず以下4つのチェックポイントがあると思っています。
1.年収比率 | 税込み年収の20%以内(手取り収入の25%以内)が目安 |
2.直感的に返済可能と考えられるか | 今のいまの住宅費と比べて、固定資産税や修繕積立、管理費の増加、光熱費の変動、変動金利なら将来の返済額増加、夫婦の将来収入推移などを想像して直感的に返済していけると考えられるか |
3.年収×5~6倍以内 | たとえば年収700万円なら、×6=4200万円までのローンがひとつの目安 |
4.ライフプラン表をつくって確認 | 少々面倒だが個別のライフプラン表をつくってみれば無理のない返済額が見えてくる |
どう考えも余裕をもって返せそうということなら問題ありませんが、少しでも不安が残るということなら個別のライフプラン表を作成してみると色々なことが見えてくると思います。
例)年収700万円、住宅ローン4000万円の場合のライフプラン表
世帯主が同じ年収でも各家庭ごとの家計は全く異なり、配偶者の年収水準、夫婦の年齢、子供の数、教育方針、支出水準、車の有無、親の援助有無、資産運用などによって金融資産の推移はまったく違った形になります。
仮に以下のような条件にてライフプラン表をつくってみます。
・世帯主税込み年収700万円(手取り540万円)上昇率1.0% 60歳から5年間は400万円(上昇率0%) ・配偶者手取年収100万円(60歳まで) ・夫婦年齢35歳 ・子供5歳と2歳 ・世帯主退職金60歳時に1000万円 ・進学=高校まで公立、大学は私立文系(自宅通学) ・現在の貯金800万円 ・現在の家賃120万円 ・来年4500万円の住宅購入 ・頭金500万円、30年ローン4000万円、固定金利1.3% ・住宅維持費(固定資産税、修繕管理費)40万円 ・基本生活費240万円 ・保険料20万円 ・車1台、維持費15万円、300万円の車を10年毎に購入 |
この場合、60代までに金融資産が4000万円近くになりますが、老後は貯蓄を取り崩しながら90歳時点で金融資産が枯渇してしまうおそれがあります。
なお、公的年金受給額は所得代替率が現在の6割→5割程度に落ち込む予定なので現在の制度×80%程度で見ています。
このくらいのことが見える化できると、「老後の生活費を減らす」「配偶者の収入を〇万円増やす」「いまいくらか節約する」「住宅の購入額を減らす」「親に援助をXXX万円求める」など具体的な対策を考えやすくなると思います。
以上のようなポイントを押さえて不安感の少ない住宅購入ができるとよいですね。
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