FP(ファイナンシャルプランナー)資格とは
FP資格は生活にも密接に関係し役立つスキルとして人気の資格。AFP、CFP合わせて毎年1万人前後が新規に資格を取得しFP協会の会員になっている。
FP資格は以下の6分野(6科目)で構成され、AFP資格試験では6分野が総合的に出題され、上位のCFP資格試験では1科目ずつ受験が可能となっている。
・ライフプランニングと資金計画
・リスク管理
・金融資産運用
・タックスプランニング
・不動産
・相続・事業承継
AFP資格:
「アフィリエイテッドファイナンシャルプランナー」の略で、FPとして充分な知識と実務能力があることを日本FP協会が認定する水準
<勉強時間目安:150~300時間>
CFP資格:
「サーティファイドファイナンシャルプランナー」の略で、高度な知識と経験をもって長期的かつ総合的な視点で適切なアドバイスをし、他のFPの規範となる確固たる職業倫理を身につけているプロフェッショナルとして日本FP協会が認定する水準
<勉強時間目安:AFP合格後300時間くらい>
今回は、2021年度ファイナンシャル・プランナー実態調査(CFP・AFP認定者からの回答約1.2万)を基に「FP資格」で独立できるのか考えてみたい。
FP資格者の実態
FPは主に個人の家計運営についてアドバイスを行いアドバイス料を受け取るのが一つのモデルだが、どちらかといえば、本業の補完として資格を生かしている人が多い印象。
主に生命保険販売者、投資商品販売者、住宅販売者、税理士、社労士などが本業の知識補完として資格保有していることが多い。
CFP資格・AFP資格以外の保有資格は生命保険募集人が最多で33%
つまり、生命保険を販売するためにFP資格を取得する、そういうケースが最もポピュラーということになる。
FP会社経営は2.4%
アンケート回答のあったCFP・AFP資格者1.2万人のうち、FP会社を経営しているのは2.4%(300人弱)。
そのほか多いのが、生命保険会社勤務、保険代理店勤務、証券会社勤務、税理士法人勤務など。無職者も多い。
これだけを見れば、FP資格を取得してもただちに独立できるわけではない、ということが分かる。
CFP・AFP資格以外に保有している資格
FP資格以外には、やはり保険、証券、不動産関係の資格を保有している人が多い。金融・不動産などどこかに勤め、本業の資格を保有しながらFP資格も保有している、という人が多い。
純粋なFP業務で売上がある人は約4%
回答のあったFP資格者1.2万人のうち、純粋なFP業務で売上がある人は全体の約4%(476人)。
4%の内訳は、上記でFP会社経営が2.4%とあったものに加え、税理士や会計事務所でFP業務として売上があるということかと推測される。
CFP・AFP資格者は日本に20万人弱いるので、4%だとすれば8000人程がFP業として収入があるというのが日本の実態かもしれない。
FP業務の売上の種類
純粋なFP業務で売上がある人(476人)のうち、最も多い収入源は「FP相談業務による売上」で16.7%
その他、講演・講師料やFPに関する執筆・監修という人もいる。このレベルになるとFP資格だけ取得したばかりの人には難しいだろう。
FP業務関連の平均的な料金と収入
有償のFP相談業務を行っている人のうち、相談を受ける際の平均的な料金は1時間8100円。ただしこれは5000円程が37%で、1万円台が33%と多く、その中間が8100円ということ。5000円か1万円に設定しているのが相場のよう。相談料とは別に、提案書を作成する料金は1回あたり43000円。
↓保険や投資、不動産など募集・仲介・販売の手数料の収入がある人の1か月の手数料は1~5万円未満が20%で最も多く、10~20万円が17%、1か月に100万円以上の手数料収入がある人が13.2%いる。全部ならした平均は月37.6万円。
もし手数料収入で月に30万円以上稼げるとすれば、生活費が安いとか他の収入があればギリギリ独立できるかもしれない。月に100万円以上の手数料収入がある人は、生命保険・証券・不動産販売の優績者と思われる。
直近1年間の1ヶ月当たりのFP業務に関連した平均相談件数
FP業務従事者476人のうち、直近1年間のFP業務に関連した相談は月平均0件が最も多く37.6%
FP業務を行っているという人でさえ、月平均の相談件数はゼロ。。
一方で月に30件以上相談を受けている人もいて、全体平均は月9.8件。ただしこれは無償相談も含まれており、有償での相談数平均は4.2件、無償での相談数平均は5.6件。
FP相談業務で独立しようと思ったら相当何らかの工夫が必要になりそう。
相談の多い分野
相談が最も多い分野はライフプランニングで38.7%
次いで、相続・事業承継、金融資産運用となる。
生命保険販売者のFP資格保有率が高いわけだが、保障・補償設計に関する相談はあまり多くない。「保険相談したいんですけど・・」とストレートに申し出る相談者は少ない、と見た方が良いのかもしれない。
FP業務で得た昨年の年間収入
保険・証券・不動産などの手数料ではなく、純粋なFP業務で得た年間収入としては100万円未満が50.8%と最も多い。したがって、FP業務オンリーで独立することは大変難しいということが分かる。
FP業務の依頼経路
FP業務の依頼経路は「取引先・知人からの紹介」が最多で62.8%
つまり、知人に紹介したくなるほどのスキルや人間的魅力を持っていないとFP業務は難しいのかもしれない。
次いで、「ホームページへの問い合わせ」も多く、自身(自社)のホームページを充実させることも大変重要ということだ。また、女性FPに限っていえば、「ホームページへの問い合わせ」は多く依頼経路の約半数におよぶとのこと。女性FPでホームページを魅力的に作りあげることができればチャンスがあるのかもしれない。
顧客満足度が高かったFP業務内容
顧客満足度が高かった相談内容は「相続対策」が最多で33%
相続対策での満足度が高い理由は3つ考えられる。
1.自身では専門的すぎてよく分からない
2.相続税申告まで期限が決まっている
3.相続対策によって具体的な金銭的または協議上のメリットがあった
次いで多いのは、「提案書によるお客様の問題点の指摘とアドバイス」「ライフプランニングの考え方が理解できたこと」「キャッシュフロー、バランスシートの作成」
このあたりはライフプランニングという意味で同じかと思う。
独立意向がある会員は19%
「将来的に独立しようと思う」まで含めればFPとして独立したい意向は19%にもなる。ただ、「1年以内の独立に向けて準備中」「具体的に計画中」を合わせた独立予定者は4%にすぎない。
FPとして独立にあたっての課題・懸念事項は「顧客開拓」が最多で65%
次いで多いのは「収入面」で52%
FPとしてただちに独立を計画しているのはかなり少数であることが分かる。一方、いつか独立したいと思っている人は定年後にFPを仕事としてもいいかもしれない、と思っている人が多いのではないかと推測する。
結論:FP資格単体では独自に集客できる人しか独立できない
FP資格単体での独立は非常に難しいと言い切ってしまうとFP協会に怒られそうだが、実態はそうである。
「家計について有料でFPに相談しよう」という文化はあまりないし、相談することのメリットがPRしきれていないのかもしれない。
わたしはココナラで相談を受けており、相談料5000円、月に4~5件の相談という感じ。ココナラのライフプラン相談ではTOP3くらいには入ると思うし、ほかにツール単体の販売も行っていてもやはり、FP業として独立は非常に難しいと感じる。
個別のライフプラン表を作成、エクセルで提供します 見える化することで、将来の家計の不安がクリアになります!
FPで独立できる人は、FP会社を経営している2.4%がその難易度として参考になるかもしれない。FP資格者の2~3%がFP業として独立できて、そういった方々は相応のFPスキルと人間的な魅力、ホームページ等による不断のPR努力、何らかの仕組みによって経営が成り立っているものと思われる。
これらを踏まえて「自分はできそう!」と思う方は独立を目指されるとよい。
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