投資信託とは? ざっくり特徴3つ。
NISAやiDeCoにも使われている投資信託。株などとどう違うのか以下3つの特徴を理解しておくといいと思う。
特徴1:小口資金で投資可能
投資信託は、個別企業の株や様々な債券等を数十~数百集めひとつのファンドをつくり、そのファンドに対し、多くの場合1万円~という小口資金で投資が可能になる仕組み。ちなみに株の個別銘柄の場合、たとえばトヨタの株を買おうとして株価が3000円、売買単位が100株であれば、少なくとも30万円の資金が必要ということになる。
特徴2:リスク分散
そういう意味では投資信託はたった1万円で数十から数百社の間接的な株主になれるようなものであり、仮に1社倒産したからといって通常の個別株式のように投資資金がゼロになるということがない。全体が上がればそのファンドの基準価額(株でいう株価のようなもの)が上がり、全体が下がれば下がる。リスク分散の仕組みであるため仮に1社だけ調子が良くてもあまり影響がないといえる。
特徴3:プロの運用
投資信託の運用(売買判断等)は〇〇アセットマネジメントというような投資信託会社が行うため、個人素人が管理するよりも運用成績はベターになる可能性が高いと思う。
投資信託はどのように選ぶか
投資信託は、証券会社、ネット証券、銀行窓口、ゆうちょ銀行などで購入することができ、たとえば1万円で、ある投資信託を購入すると、その1万円から0~3%程度の販売手数料が取られる。また、運用中にはおおよそ年0.1%~1.5%程度の管理手数料(信託報酬)が取られる。それから投資信託をやめる際に0.1%程度の解約手数料(信託財産留保額)が取られるものもある。
基本的には手数料が低いものがいい。その意味では銀行窓販や営業マンを通じて購入するより、SBI証券や楽天証券などのネット系の方がいいと思う。
ただ、信頼できる人からある程度のアドバイスをもらうとか手続きについて懇切丁寧に教えてもらいたい場合は銀行や証券会社を通じて行った方がよいのかもしれない。その場合、同じファンドでも手数料は割高に設定されていることが多い。
また、手数料が高くても今後成長が期待できる業界(AI、テクノロジー、ヘルスケア、資源など)や国(インドやその他新興国など)をテーマとするファンドは手数料が高めに設定されていることが多い。
確実性が高く、成長が期待できて、手数料が低く、なおかつ自身が関心を持てるファンドが見つけられるといいと思う。
タイミングや選んだ投資信託がよければ、リスク分散しつつ、長期的に利益を得ることができる。年単位ではプラスマイナスがありながら、年間数%~すごく良ければ年間十数%ずつの利回りで運用できる。
たとえば、社会人になって頑張って月10万円ずつ積立、年10%で運用できれば40代半ばで資産が1億円を超える。その間3000万円弱を投資することになるが2024年からの新NISA制度を活用すればそのうち1800万円までの投資分からの益金については非課税で総取りできる。または、途中で結婚して夫婦の非課税を使えば課税なしで40代で1億円を手にすることも可能。
投資信託の種類にはたとえば、「日本の成長株100銘柄集めたもの」などそれぞれテーマが設定されており、公募投資信託といって誰でも買える投信信託の種類は日本で現在5000本以上ある。
5000本以上というとどうやって選んでよいか途方に暮れそうだが、ライフプランを長期的に充実させるため、とりわけ老後を豊かにするためという観点で考えれば、リスクを抑え、手数料が低く、インデックス型、非分配型(または再投資型)、解散(繰上償還)しないもの・・・などの条件で絞り込みをすると良いかもしれない。
気に入った金融機関で口座開設をして、そこで取り扱っているファンドからある程度の戦略と哲学をもって選べば自然と選ぶべきファンドは絞られてくる。
ライフプランに取り入れる投資としてはNISAやiDeCoを活用し(つまり投資信託の仕組みを活用し)、長期&国際分散&積立投資がお勧め。長期というのは概ね10年以上を意味し、その目的は子供の大学等資金準備や、老後資金準備に充てるという考え方を持っておくとよい。
もし10年前からコツコツ分散投資をしていたら・・?
仮に10年前から月2万円ずつ以下のように分散するとして積立投資をしたとする。
・日本株式インデックス系20%(月4千円)
・日本債券インデックス系20%(月4千円)
・外国株式インデックス系20%(月4千円)
・外国債券インデックス系20%(月4千円)
・外国リートインデックス系20%(月4千円)
(信託報酬は年0.2%とする)
金利が0%なら、月2万円×12か月×10年=240万円。
一方で上記のように分散投資すると以下のようになる。
(※2013年1月1日~2022年12月31日までの10年間として)
2013年 累積投資額24万円 騰落率31.7% → 32万円
2014年 累積投資額48万円 騰落率18.7% → 66万円
2015年 累積投資額72万円 騰落率1.5% → 91万円
2016年 累積投資額96万円 騰落率1.9% → 117万円
2017年 累積投資額120万円 騰落率10.0% → 155万円
2018年 累積投資額144万円 騰落率-7.7% → 165万円
2019年 累積投資額168万円 騰落率16.3% → 219万円
2020年 累積投資額192万円 騰落率2.1% → 248万円
2021年 累積投資額216万円 騰落率19.0% → 323万円
2022年 累積投資額240万円 騰落率-6.1% → 325万円
上記の分散割合の場合の過去10年間の年平均リターンは8.8%
毎年上げ下げがあって、年単位でみればプラスマイナス2~3割程度はあるという心構えをもっておくとよいだろう
投資シミュレーションシートは以下のライフプランツールの中にあるのでダウンロードして自由にお使いください。
※PCでお使いください。スマホ・タブレットでも使えますが、一部機能が制限されています。 |
それでは投資のタイミングが2013年からじゃなかったら?
1990年からの10年間→平均年リターン5.5%
1991年からの10年間→平均年リターン7.4%
1992年からの10年間→平均年リターン7.2%
1993年からの10年間→平均年リターン6.6%
1994年からの10年間→平均年リターン7.4%
1995年からの10年間→平均年リターン9.0%
1996年からの10年間→平均年リターン9.3%
1997年からの10年間→平均年リターン8.8%
1998年からの10年間→平均年リターン7.1%
1999年からの10年間→平均年リターン4.2%
2000年からの10年間→平均年リターン5.2%
2001年からの10年間→平均年リターン4.5%
2002年からの10年間→平均年リターン3.3%
2003年からの10年間→平均年リターン6.3%
2004年からの10年間→平均年リターン8.0%
2005年からの10年間→平均年リターン8.7%
2006年からの10年間→平均年リターン5.9%
2007年からの10年間→平均年リターン5.4%
2008年からの10年間→平均年リターン6.7%
2009年からの10年間→平均年リターン9.1%
2010年からの10年間→平均年リターン8.9%
2011年からの10年間→平均年リターン9.2%
2012年からの10年間→平均年リターン11.7%
このように、10年以上積立し続けるという時間の分散と、投資先の分散を行うことで、平均的に考えれば少なくとも年3%~調子がよいと10%近くのリターンが見込めると推測できると考えている。もっと20年などの長期になれば、平均リターンは収れんされて、5~7%程度を見込んでもよいと考える。
では、5年積立投資ではどうか。
日本株、日本債券、外国株、外国債券、外国リートに20%ずつ毎年一定額を積立投資するとして。
1990年から5年間→年平均リターン-0.4%
1991年から5年間→年平均リターン5.7%
1992年から5年間→年平均リターン8.1%
1993年から5年間→年平均リターン11.1%
1994年から5年間→年平均リターン8.8%
1995年から5年間→年平均リターン11.5%
1996年から5年間→年平均リターン9.1%
1997年から5年間→年平均リターン6.3%
1998年から5年間→年平均リターン2.1%
1999年から5年間→年平均リターン5.9%
2000年から5年間→年平均リターン6.5%
2001年から5年間→年平均リターン9.5%
2002年から5年間→年平均リターン11.4%
2003年から5年間→年平均リターン12.1%
2004年から5年間→年平均リターン2.6%
2005年から5年間→年平均リターン4.0%
2006年から5年間→年平均リターン-0.5%
2007年から5年間→年平均リターン-4.7%
2008年から5年間→年平均リターン0.6%
2009年から5年間→年平均リターン13.4%
2010年から5年間→年平均リターン13.4%
2011年から5年間→年平均リターン13.9%
2012年から5年間→年平均リターン15.4%
2013年から5年間→年平均リターン12.8%
2014年から5年間→年平均リターン4.9%
2015年から5年間→年平均リターン4.4%
2016年から5年間→年平均リターン4.5%
2017年から5年間→年平均リターン8.0%
2018年から5年間→年平均リターン4.7%
インデックス系で上記のように分散積立投資した場合、5年続ければ多くの場合で投資で勝てる結果となっている。負けたのは29回中3回。しかし5年で負けたとしても勝つまで続ければいいだけの話。
積立分散投資の効果を知って、その投資効果をうまくライフプランに生かすことができれば豊かな老後生活を実現しやすくなる。
長期的な積立投資は「いつまでにXXXX万円貯める!」と一度戦略をたてて、はじめてしまえば自動的に積みあがっていく。注意点としては、近い将来住宅購入するなどの場合、必要な頭金まで投資しすぎないこと。NISAなら現金化して頭金に充てられるかもしれないが、損失が膨らんでいる場合、解約しづらい。住宅購入をする場合は、その後のキャッシュフローも考えながら積立投資を始めるとよいだろう。
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