信頼とは?
「仕事で一番大切なのは信頼だ。」
社会人一年目に上司から言われたことで、多くの人が同様のことを言われたことがあると思いますし、そう信じていると思います。
仕事では顧客に対してだけでなく、社内的にも信頼が重要ですし、日常生活で誰かと関わるときでも、ネット上で見知らぬ人と関わるときでさえも、良好な関係を維持・向上させるためには信頼性が欠かせません。
エリック・バーカー著『残酷すぎる成功法則』には世界で最も不幸せな国とされた国について紹介されており、それは旧ソ連に属していたモルドバとのこと。モルドバではあまりに多くの学生が教師に賄賂を渡して試験をパスしていたり、医師すら金で医師免許を買っているので35歳以下の医師にはかからないようにしているなど人々が互いに互いを信頼していない、といいます。
でも、信頼ってそもそもなに?って分かりやすい言及はあまり見当たらない気がするのです。
信頼とは何かを分かりやすく定義してみることで、信頼性を獲得しやすくなり、信頼性の高い人が増えれば世の中がもっと住みよくなると思います。
信頼とはデジタル大辞泉(小学館)によれば、
とあります。
「信頼できる人」「あの医者は信頼できる」などと使いますね。
あなたの周りで信頼できる人とは具体的に誰でしょう?
逆に、信頼できない人は誰でしょう?
信頼できる人と信頼できない人の違いはなんでしょう?
ネットで「信頼」と検索すると、信頼について言及する記事がいくつか見つかります。
▼谷誠之の 「カラスは白いかもしれない」「信用」と「信頼」の違いをご存知ですか?より
・物理的に「信用」する、精神的に「信頼」する
信頼されるために必要なこと
1.立場を全うするのに十分な知識と能力がある人
2.相手の立場に立って考えたり行動したりできる人
3.考えに一貫性がある人
4.うそをつかない程度に誠実な人
「信用状」とか「信用金庫」、「団体信用生命保険」、「取引信用保険」、「身元信用保険」など、具体的な何かに基づいて契約する時などは”信用”という言葉をつかうような気がしますね。「信頼保険」というのは確かにないですね。
ただ、信頼されるために必要なことについてはちょっとハードルが高いような気がします。
「立場を全うするのに十分な知識と能力がある」、とか、「考えに一貫性がある」、となると社会人一年目で入社したばかりの人は、皆信頼できない、ということになってしまうかもしれません。
▼Forbesより
1. 誠実である
2. 自分を理解している
3. 公平である
4. 道徳的である
5. 思慮深い
6. 人間的である
7. 優しい
8. オープンである
9. 説得力がある
10. 協力的である
信頼されるためには、これもちょっとハードルが高い。これだと信頼できる人っていうのはごく少数の人になってしまうでしょう。
信頼とは、約束を守ること。これに尽きるのではないか?
私が考える信頼とはシンプルに「約束を守ること」だと思っています。
そして約束には二つの軸があって、スペックと時間で表すことができます。
▼約束と信頼性の図
仕事には常に何かしらの約束がつきまといます。それらを着実にひとつずつ守ることで、その人の信頼性が高まっていきます。
「〇月〇日までに見積もりを案内する」
「明後日までに資料を作成して提供する」
「遅刻しないで来る」
「会議で決まったことを期限を守って実行する」
「できると言ったことを実行する」
約束のスペックと時間の両方を守ることでのみ信頼性を維持・向上させることができるのです。
スペックとは、見積もりであれば期待値よりもリーズナブルな価格だったり、商品や製品であれば期待値を超える性能だったりという意味です。
信頼性についてスティーブン・R・コヴィー著『7つの習慣-成功には原則があった!』には、銀行預金のように信頼も積み重ねるもので、信頼性の多寡のことを「信頼残高」と表現しています。
信頼残高の多い人は信頼性の高い人であり、逆に信頼残高がマイナスの人は、信頼できない人ということになります。
信頼残高は約束を守ることで積み重ねることができて、約束を破ったり守らなかった場合、信頼残高が減少します。
信頼残高は、関係する人それぞれによって異なり、ある人に対しては信頼残高を積み重ねることができているけど、別の初対面の人に対しては信頼残高はゼロからのスタート、という考え方です。つまり初対面の人こそ慎重に信頼を築いていく必要があります。
多くの人から高い信頼残高を獲得してれば多くの質の高い仕事が舞い込むでしょう。
約束を守り、信頼残高を積み重ねるためには期待値をコントロールせよ
スペックと時間について常に約束を守り続けるというのは、困難に思えるかもしれませんが大丈夫です。約束そのものを間違いなく守れるレベルまで下げておけば良いのです。
それを私は「期待値のコントロール」と呼んでいます。
期待値はあまり下げ過ぎると「この人は仕事ができない人だな」と思われるかもしれませんが、約束を破ることによる信頼残高の減少よりはよっぽどマシです。
たとえば、顧客や上司からの依頼に対して1日でできそうな仕事だと思った場合、大別して二通りの反応をする人がいます。
A「今日中に回答します」
B「明日までには回答します」
Aの人は期待値のコントロールを考えていない人です。頑張る姿勢だけ見せて、時間的約束を守れないことが多い人です。頑張る姿勢を見せれば相手は好意を持ってくれると思っているのかもしれませんがそれは勘違いですし仕事では阻害要因になります。
「すぐにやります。」「できるだけ早めに回答します。」と期限を客観的に明確にしない発言もNGです。
Bの人は少し余裕をもって期限を定めます。そして常に期限(期待値)を上回る結果を提供、つまり期限に間に合わないということがありません。
約束の段階では、もしかしたら相手に「そんなに時間かかる?」と思われることもあるかもしれませんが、時間を確実に守ることで小さいかもしれませんが信頼残高を着実に積み重ねることができます。
たとえば、社会人1年目の入社したての人でも、確実にできる約束を積み重ねることは可能です。
顧客からの質問に即答できない場合、曖昧な回答をするのではなく、「確認して明日までには一度ご連絡します」と言えばよいでしょう。もし明日までにはっきりした回答が分からない場合でも連絡だけはできるはずです。その連絡の際には既に社内で色々と調べて、いつまでだったら具体的な回答ができそうかより明確になっているはずです。
期待値は低すぎず、確実に守れそうなラインを設定することが重要ですが、もし守れそうにない場合は「すみません、〇〇の理由でいついつまでにお時間を延ばしていただけますでしょうか」と事前に連絡をすれば、ほとんどのケースで問題にならないでしょう。
まとめ
・信頼を得る(信頼残高を増やす)には「スペック」と「時間」の約束を守ること。
・常に約束を守るためには期待値を上手くコントロールすること。
以上のことで高い信頼性を積み重ねることが出来て、より良いビジネスまたは、より良い日常生活を獲得できることでしょう。
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