金融広報中央委員会では毎年、家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]を行っている。
調査の目的は以下2つ。
つまり、一般的な状況を知って、家計管理に生かしてくださいね、ということ。
金融広報中央委員会は、昭和27年に(その前身が)発足、各都道府県、政府、日本銀行、地方公共団体、民間団体等と協力しながら、日本の金融リテラシー向上のために活動をしているとのこと。
「知るぽると」という個人向けの役立つ金融情報・家計情報などを扱いサイトを運営しており、FP業界では知られていますが、一般の方が見ても面白い発見があると思う。
2023年の家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]の結果は?
1.調査時期・・・2023年6月23日(金)~ 7月5日(水)
2.調査対象・・・有効回答として全国 5,000世帯(世帯主が20歳以上でかつ世帯員が2名以上の世帯)
3.調査方式・・・インターネットモニター調査
年齢構成は、20代が少なく、40代以降が約1000人ずつといった感じ。
金融資産の保有状況
多額の資産を持っている人が平均値を押し上げてしまうため、金融資産については「中央値」を参考にするのがよいと思う。
中央値を見ると過去10年で、概ね300~500万円くらいを推移しており、2023年は330万円とここ2~3年は減少傾向。調査対象の年齢構成では40~70代が多いのだが、保険や投資資産を含めて二人以上世帯で中央値330万円は感覚的に少ない気がする。二人以上世帯では1年間の生活費にもならない。
安心感のある老後資金準備だけを考えても40~70代でもう少しあるべきだと思う。iDeCoやNISAを拡充し、老後資金を増やしやすくする政策がとられているのはここに背景があるのだろう。
借入金のある世帯
2020年と2021年で大きく数字が変わっているが、調査方法が変わったのだろうか。これはよく分からない。
2023年、新築・リフォーム含め住宅のための借入をしている世帯が47%
調査対象は20~70代まで含まれているわけだが、30~50代に絞ればもっと割合は高くなると思われる。
次いで多いのが、日常生活資金のための借入23%
日々の暮らしとして収支が合わず仕方なく借入してしまう世帯が2割もいる。これは大きな問題だと思う。日常の生活資金を借り入れに頼るというのは健全といえない。だから消費者金融会社があれだけ存在するということも納得。消費者金融会社など不要な社会が理想的だと思う。
耐久消費財(自動車、家具、家電等)の借入が14%
子供の教育費借入が10%
二人世帯と言っても子供の教育費がかさむ時期は大学を中心とした時期だろうから、世代としては40~50代が中心で、実態としては大学生のうち半数以上が奨学金を借りているそう。
生活設計策定の有無
生活設計を立てている世帯が37%
現在生活設計を立てていないが、今後は立てるつもりが41%
両方合わせれば、計画をしているまたは計画の大事さを認識している世帯が約8割といえる。それにしても上述のように金融資産が少ないし、日常生活資金を借入ている割合も大きすぎると思う。
現在生活設計を立てていないし、今後も立てるつもりはないが22%
生活設計がなくても十分に資産があるか、考える余裕もないのいずれかと思われる。
老後への生活の心配
非常に心配であるが39%
約4割の世帯が非常に心配しているとすれば、彼らは生活保護予備軍とさえ言えるのではないか。日本の将来がいよいよ心配になる。
多少心配であるが40%
多少心配くらいなら、きっと何とかなるレベルの人も相当いると推測。このくらいが一般的な感覚として大多数を占めるくらいの家計事情であるべきだろう。
できることなら、「日本、安心!、楽勝!」みたいな世帯が多数派になる未来を希望したい。
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