相談すれば保険金の一部内払に応じてくれることもある
企業の火災保険契約で、大きな保険事故が起きた場合、復旧まで何か月も(時には1年以上)要することがあります。
生産のためラインを止められないので本復旧が数か月後になるとか、機械設備が特注品のため製作に数か月かかるとか、他の設備投資計画と関係しており復旧方針が固まらないとか、台風により被害多数のため業者が対応してくれるのが数か月先など、理由は様々です。
修理箇所が何か所もあって、一定のところまでは保険査定が終わっているけど、残りの分については査定がまだ先になる、ということがあります。
企業の場合、キャッシュが足りるか足りないかという問題も考えなくてはなりませんが、決算対応のため●月末までに保険を払ってほしい、というニーズも時にはあって、「決まっている分だけでも先に保険金を払ってもらうことはできますか?」と質問を受けることがあります。
保険会社としては、できれば1回にまとめて請求してもらいたい、という基本方針がありますが、状況によっては保険金の一部内払を了承してくれることもあります。
ちなみに損害保険協会の『損害保険の保険金支払に関するガイドライン』では、自動車保険の事故対応について、以下のように記載しています。
対人事故の場合、相手がケガをしているため細心の注意を払って事故対応していく必要がありますが、被害者の要望等に応じて、内払いも行うような指針が出ていますし、実際、治療が数か月以上と長引くような事案の場合には、結構頻繁に医療機関等へ保険金を支払っています。
火災保険については、このガイドラインでは言及されていませんが、保険事故対応の基本的な指針としては同じで、保険会社もやむを得ない理由により最終的な支払保険金額が決まっていない段階でも、既に決まっている保険金のみ内払いしてくれることがあります。
「できればまとめていただきたいのですが・・」と言われることもありますが、基本的には応じてくれます。
保険金の一部内払制度を公表している保険会社
AIG損害保険では、企業の火災保険事故でAIGが認める場合は、保険金の内払を行うことを公表しています。
しかしながら、1億円以上の損失が見込まれ、かつ事業継続が困難な場合であるとAIGが認める場合と、ハードルが高い印象です。
実際の運用はもっと柔軟に対応してくれるような気もしますし、他の損保会社ではもっと柔軟な対応を従来から行っているけど・・?という感じです。
あいまいなところをきっちりしたい、というか良い意味でも悪い意味でも外資のAIGらしいと感じるところです。
(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。