古い物件ほど保険の効果が高いという考え方
竜巻は局地的かつ甚大な被害をおよぼす自然災害です。
竜巻が通ったあとは悲惨な損壊状況になりますが、見方によっては”結果的に得した“という場合もあると思っています。
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そこに竜巻が発生し、建物が全壊。
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しかし新価(再調達価額)ベースで風災も補償される火災保険に加入していたので、新築費用を自己資金で用意することなく、保険金で建物を新築することができた、という場合です。
周囲の方々も甚大な被害を受け、中には保険に加入していなかった方もいれば、十分な保険金が支払われなかった方もいるかもしれないので、「保険金で新築できちゃって得した」とは安易に口外しない方が良いと思いますが、実際には、「実はラッキーだった」というケースもあるでしょう。
本来であれば、自己資金や借入によって建替えるべきところを免れたというわけです。建替えれば保険金は新築費用に充てられますから、結果的に現金は増えませんので儲かるわけではないのですが、得した気分にはなるでしょう。
(ただし、ケガなどそれ以外の被害がなかったら、という前提ですが。)
一方、新築間もない物件が竜巻被害にあって全壊した場合は、そもそも建替えようとも思っていなかったわけで、保険金で同様の物件を再築できたとしても、得した気分にはなりにくいでしょう。
【ケース】築40年の事業用倉庫が竜巻で全壊した場合
上記で、「実はラッキーだった」となる場合もあるといいましたが、そうなる条件はかなり限定的かもしれません。
仮に、築40年の事業用倉庫が竜巻で全壊したとします。
その倉庫は「もうそろそろ建替えようか」と考えていて、なおかつ、使用していなかった場合で、さらに新価(再調達価額)ベースで風災も補償される火災保険を契約していた場合、ということになります。
もし、その倉庫を自社の資材置きなどとして使用していた場合は、資材も被害にあい、事業継続に支障をきたし、売上等が減少するリスクもあります。
また、復旧までの期間、別な倉庫を借りる必要も出てきて、余計な費用がかかるでしょう。
または、他人の財物を預かっていたような場合でも、その賃料収入が途絶えるリスクもあります。
そもそも使用していない倉庫には十分な保険をかけないというケースもあるでしょうから、「実はラッキーだった」というのはレアケースかもしれませんね。
ちなみに、火災保険は、必ずしも新しい物件を建てる必要はありません。もし使用していない物件で今後も再築不要な場合、保険金を受取って貯金してしまっても構わないのです。(ただし、新価ベースの保険金を支払うためには復旧を条件にしている保険契約もある)
今回は「竜巻」を例に挙げましたが、火災でも洪水等の水災でも同様のことがいえると思います。
ただし、火災だけは保険金支払にあたって保険会社が注意を要するところです。竜巻や洪水を人為的に発生させることはできませんが、火災については、経営や生活が苦しい等の場合、古い物件に自分で放火をしてしまう人がいます。保険金の不正請求として犯罪になるわけですが、たくさんの保険金請求のなかには一定割合、怪しい請求もあるようです。
(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。