オリンピックはテロの標的になりやすい?
2020.2.27の日経新聞によれば、オリンピックに向けて、東京海上日動をはじめ損保大手各社はテロによる被害を受けた際の保険を販売開始予定とのこと。
テロリストは人々の印象に残る場所やイベントを狙うといい、その意味でオリンピックも油断できないわけです。
公安調査庁「世界のテロ等発生状況」によれば、2019年だけでも世界では100件近くのテロが発生しており、その度に数人から数十人の人々が犠牲になっています。毎月10件前後のテロが発生しているのですね。
▼直近のテロ事件
2020/2/17 | パキスタン オートバイによる自爆テロ 10人死亡 |
2020/1/10 | パキスタン 自爆テロ(ISILによる犯行声明) 15人死亡 |
2020/1/9 | ニジェール 武装集団が軍基地を襲撃 少なくとも兵士89人および武装集団側69人が死亡(ISILによる犯行声明) |
2020/1/5 | ケニア 武装集団が気を襲撃 アメリカ人3人死亡(アル・シャバーブによる犯行声明) |
テロに対する保険とは
これから発売される予定のテロに対する保険は、施設がテロにより爆破、破壊等された場合の復旧費用や休業による損失をカバーするとのこと。
これまで、テロによる被害については保険が一切なかったかというと、そうではありません。
一般的に各損保会社の火災保険では大規模物件(保険金額10億円以上等)の場合には、いわゆる「テロ免責」の特約が付帯されるようになっており、それ以外のケースではテロ行為による物理的破壊は保険の対象になるケースもありました。(実際に日本でテロによる保険金支払いはまだないと思いますが)
テロ行為については、政治的、社会的もしくは宗教・思想的な主義・主張を有する団体・個人またはこれと連帯するものが、その主義・主張に関して行う暴力的行為というように定義されており、これに該当しない集団行為(労働争議等)等による物的損壊は、契約内容によっては保険の対象になっています。
したがって今回、発売予定のテロに対する保険というのは、大規模施設を所数する企業向けで、最低保険料も2500万円程といいますから、広く中小企業まで普及する類ではないのでしょう。
一方、大会が開催される大規模施設を所有する企業にとっては検討に値する保険なのかもしれませんね。
(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。