死亡保険金以外は、損害保険金に税金はほぼかからない
損害保険は、実損害を補償する(補てんする)ためのものですから、保険事故がおきて、結果的に儲かるということはないよう設計されています。
火災事故が起きれば、その必要な修理代に対し保険金が支払われるとか、自動車が損傷したら自動車の修理代分が保険金として支払われるとか、利益保険だとしても本来得られたはずの収益に対して利益保険金が支払われるので、保険金受取人は儲からない → つまり、税金はかからないという考え方です。
ただ、利益保険を受け取って結果的に当期の損益計算上払わなければならない法人税は別です。
事故により支払われる次のような保険金は、所得税法上、非課税となります(注1)
(日本損害保険協会『そんぽ相談ガイド』より)
(注1)所得税法 第9条1項16号、所得税法施行令 第30条1項1号〜3号所得税基本通達9-20、相続税基本通達3-10、1999年10月18日付国税庁法令解釈通達「人身傷害補償保険金に係る所得税、相続税及び贈与税の取扱い等について」
死亡保険金については税金がかかる場合がある
ただし、死亡保険金については、次のように、相続税や贈与税などが課税されます。
死亡保険金の場合は保険金の原資たる保険料を誰が負担していたかで、関係する税金の種類が決まります。
保険料を負担していたのが、亡くなった方当人であれば、その保険金は本来当人の財産というべきものと考えるので、相続税がかかってきます。
保険料を負担していたのが、保険金受取人だとすれば、保険金はそもそも保険金受取人の財産と考えるので、負担した保険料を超える分について一時所得として課税されます。
たとえば、母が保険料を負担していて、父がなくなり子どもが保険金を受け取る、ということもあり得るでしょう。その場合、母は第三者になり、母から子どもへの贈与とみなされ贈与税がかかることになります。
ただし、会社が福利厚生として従業員に一律的に傷害保険を付保していた場合、死亡保険金は「死亡退職金」として扱われます。死亡退職金ということは、亡くなった方の財産になるので、それを受け取る遺族に対しては相続税がかかる、ということになります。
ひとつ、細かい注意点として、自動車保険の場合で、運転者が亡くなった場合は、その運転者の「過失分」について上記の説明が当てはまりますが、相手のある事故で、相手から対人賠償金を受け取るとき、賠償金は非課税なので、相続税などはかかりません。
(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。