間違えやすい「保険料」と「保険金額」
言葉として使い間違いやすいのが「保険料」と「保険金額」です。
企業で長年保険に携わっている方でさえ、保険料と保険金額を使い間違えていることが多々あります。
それだけ日常的に保険のことに関心が薄く、関心が薄いということは保険事故も少ないので、むしろ良いことの裏返しなのかもしれませんが・・
あらためてちょっとおさらいしておきましょう。
保険料とは、保険契約者が保険会社に支払うお金のことです。
保険金額とは保険事故の際、保険会社が支払う可能性のある最大の金額のことです。
たとえば、火災保険契約の保険対象物に対する保険金額が1000万円で、契約者が支払う保険料が1万円、となります。
保険料、保険料金、携帯料金、電気料金、公共料金、初穂料・・
“料”とつくものは、支払うもの、という覚え方でいかがでしょうか。
さらに・・「保険価額」も分かるとベターです
建物や設備など何か物を対象にする保険の場合、その対象物件の保険金額を定めて保険設計をしますが、その物の保険設計上の価値を表すのが「保険価額」となります。対象物の「価値評価」ということですね。
たとえば、保険の対象物件を建物1棟として、その建物が火災などで全焼(全損)してしまい、再度同等のものを建て直す際の再取得費用の見積もりのことを保険価額として、保険設計の際には評価を行います。
(1000万円が保険価額となる。)
保険価額に対して、100%の保険金額で保険契約をすることが基本ですが、保険料を抑えるためなどの理由で、割合を減らして、たとえば80%とか、60%などの保険金額設定で保険契約をすることもできなくはないです。
保険価額に対して少ない割合で保険金額を設定すると保険料は抑えられますが、事故時には、その割合分、保険金は削減されて支払われることになります。
ちなみに、保険価額には2通りあり、対象物件の再取得費用をベースにするのが「新価(再調達価額)」といい、新価から経年による減価分を差し引いた額が「時価」となります。
物保険の保険契約は、必ず「新価」または「時価」のいずれかをベースとして保険設計を行います(簿価と間違える人がいますが保険契約に簿価は使いません)。
ここで疑問がでやすいのが、新価で保険金額80%の保険契約と、新価の80%の時価で保険契約を行うことの違いです。
新価で保険金額80%で契約している場合、事故時には、損害額の80%しか保険は支払われません。
新価の80%の時価額で保険契約をしている場合、時価額内の修理費用であり、かつ修理を行ったことによってその物の価値が増加しない程度と保険会社が見なせば修理費用=損害額として保険金が削減されずに支払われることもあります。
・保険価額に対して保険金額を減じて契約できない保険商品もあるので実際の保険設計の際には保険代理店や保険会社にご確認ください。
・新価に対して小さい割合で保険金額を設定して契約しても事故時の保険金が削減されない保険商品も増えてきています。事故時のトラブル防止だと思いますが、その分、保険設計時点で割増保険料が取られているというわけです。
まとめ
・「保険料」とは保険契約者が保険会社に支払うお金のこと。
・「保険金額」とは保険事故の際、保険会社が支払う可能性のある最大の金額のこと。
・「保険価額」とは対象物件を保険上評価した価値(新価または時価)のこと。
保険見積もりで保険代理店や保険会社と打ち合わせを行う際、保険料や保険金額、保険価額(新価、時価)まで言葉として正しくつかえれば、「この人は分かっている」と思われるでしょうし、より正しい保険契約ができて、より確かなリスクマネジメントにつながるものと思います。
(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。