自動車保険が6割!
日本損害保険協会によれば、会員である損害保険会社全社の2018年度の※正味収入保険料は8兆3928億円とのこと。
元受正味保険料に再保険に係る収支を加味し、収入積立保険料を控除したもの。
「正味収入保険料」=「元受正味保険料」+「受再正味保険料」−「出再正味保険料」−「収入積立保険料」(実際にその保険会社が保険リスクとして引き受けている分の保険料と言えますね)
商品別の内訳は以下のようになっています。
「自動車保険・自賠責保険」で60%あり、損害保険会社の事業の柱になっています。
自動車を持っている方は基本的には自賠責保険に強制加入ですし、任意保険についてもほとんどの方が加入しているでしょう。
ということで、損保商品で一番売れているのは自動車保険(自賠責含む)!といえます。
契約者からすれば自動車保険は保険金だけではなく、事故解決のサポート(示談代行サービス)も欠かせないサービスです。人によって事故を起こす頻度はまちまちですが、平均すれば1人につき10年に1回自動車事故を起こすと言われますので、自動車事故に慣れている人は圧倒的に少なく、だからこそ、保険会社による事故解決のサポートが重要になってきます。
「火災保険」は、住宅やビルなどの建物、または家財や機械設備を所有する個人・法人はだいたい加入していると思われますが、それでも14%ほどと、自動車保険に比べたら割合は少ないです。
日本には「失火責任法」という法律があり、故意(わざと火をつけた)まはた重過失(著しく注意を欠いていた)でなければ、他人に損害を与えてしまった場合でも賠償責任を負わないことになっています。したがって、もらい火だとしても基本的には火災の原因者に賠償を求めることができないので、自分で火災保険に加入しましょう、ということになっています。
そういう事情を鑑みても自動車保険に比べて火災保険の保険料としての割合がだいぶ少ないというのはそれだけ自動車事故が多い=つまり相応の保険料収入が必要ということなのでしょう。
そのほか「傷害保険」が8%、「新種保険」が15%となっています。
「新種」というのは、「賠償責任保険」「動産総合保険」「機械保険」「労災総合保険」などをいいます。左にあげた保険は既に長年販売されている保険なので”新種”という語感は違和感があるのですが、損害保険会社では今でも”新種”という呼び方をしています。
自動車保険市場は縮小していくだろう
上のように収入の半分以上を自動車保険に依存する損害保険会社ですが、よく言われるように「若者の車離れ」により自動車が売れなくなり、自動車保険市場も縮小傾向と言われます。
また、高齢化が進むと「高齢者の事故」が増え、収益を圧迫します。それから未来に向かって「自動運転車が普及」すると事故が減少し、その分保険料も下がっていくので損害保険会社はもしかしたら数十年単位でみると縮小していく運命なのかもしれません。
▼ちなみに日本を代表する損保会社の東京海上と、外資系代表のAIG(2018年度)
正味収入保険料 2,166,627百万円
自動車保険料(自賠含む) 1,335,625百万円(61.6%)
正味収入保険料 212,072百万円
自動車保険料(自賠含む) 108,874百万円(51.3%)
AIGは2018年から旧富士火災と合併してできたわけですが、2017年度までは自動車保険の割合は30%程度でした。
51%まで自動車保険の割合が増えているのは富士火災の影響ですね。
将来に向かって自動車保険市場が縮小していくとしても、たとえば自然災害は温暖化等の影響もあってか狂暴化しているようにも見受けられるし、IT社会特有のリスク(サイバーリスク)なども増えていくでしょう。
自動車保険市場が縮小する分、損害保険会社は徐々に新たなリスクに対応していくことで社会的役割を果たすことになると思います。
(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。