火災保険には明確な割増引のテーブルはない
保険事故によって保険金を支払う際、「保険をつかったら翌年の保険料はどれだけ上がりますか?」とよく質問を受けます。
個人の自動車保険のように、保険を使えば保険料が上がるとお考えの方もいらっしゃいますが、企業の損害保険は必ずしもそうではありません。
自動車保険(9台以下のノンフリート)の場合は、どんな種類の事故で保険を使ったら、●等級下がると予め決まっていて、たとえば数万円の車両損害など保険を使うことで向こう3年間の保険料が上がってしまい、結果的に損をすることがありますので、保険をつかうかどうかよく検討する必要があります。
一方、火災保険の場合は、保険をつかったら明確に●%保険料が上がる、というテーブルは基本的にはありません。
自動車保険はその運転者や企業の事故の起こりやすさ(運転の上手い下手など)によって公正に割引率を決める、というのはある程度フェアな制度だと思いますが、火災保険の場合は、火災や自然災害を対象にしていますので、自分の責任というよりは不可抗力での保険支払いが多い傾向にあるといえます。
したがって、具体的な割増引のテーブルがないのだと思われます。
無事故割引やリスク調整割引等がある場合は・・
個人契約と違って、企業が契約者となっている火災保険では、保険料ロットや過去の事故率の低さなどによって、定価の保険料に対し、無事故割引やリスク調整割引などと呼ばれる割引が適用されているケースがあります(保険会社や保険商品によって規定はまちまちです)。
無事故割引やリスク調整割引などが適用されている契約の場合は、保険金支払いがあれば、翌年の保険料は上がるかも、と思っておいた方が良いでしょう。
ただ、過去3年とか過去5年というスパンでみて、支払った保険料合計に対し、受け取った保険金の割合が小さい(10%とか20%以下など)場合には、状況によって保険料は維持されることもあり得ます。
たとえば、
受取保険金10万円 ÷ 5年間での保険料支払100万円 = 損害率10%
また、その事故が今後再発の可能性が極めて少ないと考えられるとか、十分な再発防止策を講じたという場合にも保険料は維持されやすくなります。
一方、契約保険料が小さい(数万円~20万円以下)火災保険の場合は、そもそも無事故割引やリスク調整割引などが適用されていないことが多いのですが、その場合、事故によって保険をつかっても保険料はあまり変わらないことが多いです。
定価の保険料に対し、よほどのことがなければそれ以上割増になるケースは少ないようです。
(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。