PL保険の保険料目安は?
PL保険(生産物賠償責任保険)とは、企業が製造したものの欠陥に起因し、対人・対物事故が発生した際、その賠償金(治療費、慰謝料、休業損害、修理代、弁護士費用など)をカバーする保険で、PL保険を設計する際は、「業種」と「売上高」をベースに保険料を計算する場合が多いです。
顧客の「業種」によっておおまかな保険事故の起きやすさを想定し、「売上高」によってそのリスクの大きさを図る、ということでしょう。
たとえば「計量・計測・試験・分析機械・器具製造」で保険料を試算すると以下のようになります。
(※2020.2時点 損保ジャパン日本興亜、対人対物共通1事故あたり支払限度額5億円、免責金額1千円の場合)
・売上高1億円・・年間保険料123,920円
・売上高10億円・・年間保険料644,350円
・売上高100億円・・年間保険料2,403,930円
・売上高300億円・・年間保険料4,262,640円
売上高がおおきくなるにつれ、保険料も増えますが、比例的に保険料が増えるわけではありません。
売上高が1億円と300億円の保険料を比較して、保険料は300倍になっていませんね。
同様の製品群を一括して品質管理していると想定し、売上高が大きくなればなるほど、一定の料率逓減が加味されるからです。
また、上記保険料はその企業特有のリスク状況を考慮していませんので、実際の契約にあたって、リスク実態が良好と見なされれば、相応の保険料割引が適用される場合もあります。
自社のリスク状況と平均値を比べる方法
年間保険料から推察できることがもう一つあります。
損害保険会社も事業として保険を扱っており、事故時に顧客へ支払う保険金はいわば、保険商品の「原価」となります。
損保ジャパン日本興亜のディスクロージャー資料によれば、2017年度の賠償責任保険分野の正味損害率は55.3%となっています。
たとえば、年間保険料が100万円だったとすれば、2017年は55万円くらいを保険金として支払ったということになります。
だとすれば、「試験・分析機械・器具製造」業については、損害額について以下のように推察できます。
・売上高1億円・・予定損害額7万円前後(売上に対する割合0.0700%)
・売上高10億円・・予定損害額35万円前後(売上に対する割合0.0350%)
・売上高100億円・・予定損害額132万円前後(売上に対する割合0.0132%)
・売上高300億円・・予定損害額234万円前後(売上に対する割合0.0078%)
もし自社の売上が100億円だとして、長期的に見た年換算の受取保険金額が132万円程だったら、平均的なリスク状況、それよりも少なければ良好なリスク状況、それよりも多ければ平均よりも事故が多い、と捉えるのもひとつのリスクマネジメントの切り口かもしれませんね。
(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。