借上社宅の記名被保険者は誰にするべきか
従業員の住まいとして「借上社宅」が増えているように思います。
会社として1棟ものの社宅を保有していた時代から、自由度の高い借上社宅の時代になってきているのでしょう。
借上社宅として会社が賃貸契約する際には、不動産業者から保険の加入を求められるケースが多く、そのとき借家人賠償責任保険の記名被保険者を会社にすべきか、入居者にすべきか迷うことがあるかもしれません。
賃貸の契約者が会社の場合、特に気にしないで保険契約をすると、自動的に借家人賠償の記名被保険者も会社になっていることがあります。
会社としても、何か事故があった際に会社を守れればよいのだから、記名被保険者は会社でOKとしてしまうことがあるようですが、本当にそれで良いのでしょうか?
借家人賠償は、被保険者の過失によって借用住宅に損害を生じさせた場合の復旧費用をカバーするものですので、どちらかといえば、入居者=記名被保険者としておく方が望ましいと思います。
ただ、入居者の転勤等の都度、正確に記名被保険者の変更手続きをしなければならないため事務が煩雑になってしまいます。
便利な特約や約款
保険会社によって一律ではありませんが、借上社宅向けともいえる便利な特約や約款があります。
「法人等の被保険者に関する特約」(保険会社によって名称・中身は異なる)を付帯すると、保険契約者である法人と、その役員・従業員が自動的に被保険者となり、転勤等で入居者が入れ替わっても手続きが不要になります。
また、一部の保険会社では、特約を付帯しなくても、借家人賠償の被保険者の範囲に「転貸契約がある場合、転貸人、転借人を含む」となっている場合があります。
就業規則などで、社員に対し会社が借上社宅を用意する、という規定がある場合は、転貸契約があると見なされるようですので、会社が賃貸契約者、社員を入居者とする場合、借家人賠償の記名被保険者は会社でも入居者でもどちらでもOKということになります。
借上社宅に限らずですが、家族まで保険でカバーされるのか、家族以外の同居人はどうかなど、状況にマッチする保険契約になっているか一度確認しておくと良いですね。
(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。