種類の多い傷害保険系
企業で加入する傷害保険は実はいろんな契約形態があり複雑です。
この10年程で最も進化した損害保険かもしれません。
10年程前は各保険会社で保険商品や保険料にほとんど差がなかったのですが、商品開発が進み、契約者の選択肢の幅が増えています。よく比較をすると保険料や補償内容に大きな差が出やすい分野になっています。
昨今は労災事故に対して、企業側の責任が強く求められる傾向が高まっていますので、政府労災の上乗せとして従業員を対象に傷害保険に加入する企業が増えていますが、大きく以下のような選択肢が存在します。
普通傷害保険系
普通傷害保険系の商品については保険会社による保険料の差はあまり出ません。
▼商品例
・損保ジャパン日本興亜「ビジネスマスター・プラス(傷害プラン)」
・あいおいニッセイ同和「タフビズ業務災害補償保険」
・Chubb損害保険「業務災害安心総合保険」
・日新火災「労災あんしん保険」
・AIG損保「ハイパー任意労災」
加入する場合は保険代理店に依頼し、プランが決まれば保険代理店を通じて加入します。
保険料の支払い方は口座振替、月払いで毎月1日~の加入となります。既に何らかの傷害保険に加入している場合は、加入するタイミングで既契約を解約するなどの手続きが必要になるでしょう。
また、団体契約の口座振替になるので、加入したい時期の2~3か月前から余裕をもって検討・準備をしておく必要があります。
政府労災の認定を前提にして保険金が支払われる仕組みですので、比較的保険料は割安になる傾向があります。
そのほかに検討すべきこと
どの保険商品に加入するか比較検討するほかにも検討するべきことがあります。
ひとつが「受取人をどうするか」です。保険商品によっては基本的に会社が保険金をまず受け取って、補償対象者に会社から支払う、というものもありますが、会社がまずは受け取るのか、補償対象者が直接保険金を受け取るのか選べる場合もあります。
また、業務上のケガについて政府労災とは別にいくら払いますよ、という「災害補償規定」がないと加入できない保険商品もありますが、なくても契約できる保険商品もあります。
災害補償規定がない場合は、会社が従業員に対して「こういった保険に加入するよ」という通知を行う必要があります。保険会社として傷害保険契約にあたり一番避けなければならないのがいわゆる「モラルリスク」です。
想定するモラルリスクは、会社が傷害保険に加入して従業員がケガを負った場合、会社が保険金を受け取ってそのままその従業員に払わないというケースです。それを防ぐために傷害保険契約にあたっては契約形態に応じて様々な確認書類が必要になってきます。
まとめ
このように従業員(または役員)を対象とする傷害保険は多岐に渡っており、比較検討をすると予想以上にリーズナブルな契約ができることがあります。誰を補償対象者(被保険者)にするか、どんな特約を付けるかなど検討しなくてはならないことが結構多い保険でもあります。比較検討にあたっては自社の状況や希望を保険代理店に伝えて、一度幅広い提案をしてもらってはいかがでしょうか。
(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。