フランチャイズ免責20万円の考え方
個人契約の火災保険ではここ数年なくなってきましたが、事業用物件を対象とした火災保険では風災、ひょう災、雪災についてフランチャイズ免責20万円が設定されていることが多いです。
(例)
フランチャイズ免責20万円が設定されている場合、1事故・1敷地あたりの損害額が20万円以上になった場合、保険金が支払われるということです。
たとえば、損害額が21万円だったとすれば、20万円が差し引かれるということではなく、21万円が保険金として支払われる、ということになります。
逆に、損害額が20万円に満たない場合は保険金は支払われません。
台風のような、広範囲に渡って多数の小損害が発生する事故については、保険会社も対応しきれないので、フランチャイズ免責20万円のような免責項目をつくったのでしょう。
たとえば、ガラス1枚破損だけでしたら修理費が数万円で済むことが多いようなので、保険の支払対象にはなりません。
また、「1敷地あたり」で判断されますので、1回の事故(台風、たつ巻、ひょう、大雪など)につき、同じ敷地内で複数個所の損害があれば、合計して損害額が20万円以上になれば保険金支払対象になります。
1箇所の修理見積もりが20万円に満たない場合は、他にも同じ敷地内で破損箇所がないかよく探してみると良いでしょう。
損害額とは?
火災保険(財物)の保険金が支払われる場合、主に以下4項目の保険金に分けて計算されることが多いです。
1.損害保険金 | 物代、工賃など |
2.臨時費用保険金 | 損害保険金×XX%が上乗せ。10~30%の場合が多い |
3.修理付帯費用 | 仮復旧、夜間割増、事故原因調査費用、社員の超過勤務手当 など |
4.残存物取片付費用 | 壊れたものの撤去費用 |
フランチャイズ免責20万円で問題になるのは、1の損害保険金です。
損害保険金として20万円以上が保険会社に「妥当な費用ですね」ということで認定される必要があります。
修理業者から20万円ちょうどくらいの修理見積もりをもらった場合、その中に、壊れたものの「撤去費用〇万円」、「緊急対応割増」などの項目が入っていれば、その分差し引かれて、損害保険金としては20万円に満たない額になるかもしれず、その場合、まるまる保険金支払対象外になってしまいます。
フランチャイズ免責20万円と損害額にはそのような関係性があります。
“フランチャイズ”ってどんな意味?
“フランチャイズ”ときくと、フランチャイズ展開しているお店とか思い浮かべてしまいますが、英語のFranchiseを調べるといくつかある意味の中で、以下のようなものがあります。
(官庁が特定の会社などに与える)特権,許可.
weblioより
なんとなくですが、保険会社って役所のようなところがありまして、最近は自由競争にもまれて腰が低くなっているように感じますが、そもそも自分たちがルーラー(ルールを決める人)であるという認識なんでしょう。
これを踏まえるとすれば、フランチャイズ免責20万円というのは、
「損害額が20万円以上になったら保険金を請求できる許可を与えるよ」
ということでしょうか。
ちょっと上から目線ですね。
一方、フランチャイズ免責に対して、「エクセス免責」というものもあります。
エクセス免責は分かりやすく、どんな保険事故の場合も保険金から一律〇万円を差し引きます、という考え方になります。
(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。