住宅物件の火災保険は最長5年までになる見込み
NHK NEWS WEBによれば、大手損保会社各社は今後、住宅物件の火災保険については10年契約をなくして、最長5年契約までとする方針であるとのこと。
近年の大型台風をはじめとする自然災害の増加により巨額の保険金支払いが続いており、妥当な保険料見通しが立てづらくなっているということでしょう。
住宅の火災保険といえば、以前は住宅ローンに合わせて最長で36年契約ができましたが、2015年頃から各損保会社では最長で10年契約までとなっています。
火災保険は2021年1月にも商品改定される見込みですので、その際に「住宅物件の火災保険契約は最長5年まで」という改定になるかもしれません。
長期契約の大きなメリットは1年あたりの保険料に換算すれば保険料が安くなることです。
(概ね10%割引くらいが多いと思います)
たとえば、1年で保険料3万円の火災保険契約だとして、10年契約にすると、保険料が27万円=1年あたり保険料が2.7万円になるようなイメージです。
または、長期契約しておけば、更新手続きの煩わしさが減るメリットもあるかもしれません。
ただ、36年契約などの長期契約の場合、補償内容を忘れてしまうとか、保険証券紛失リスク、または見直しの機会がないので契約当時とくらべ適切な契約になっていない場合があります。
たとえば十数年以上前の契約だと、時価契約のままで実際に事故が起きた際に十分な保険金を受け取れなかったり、水災がカバーされていなかったり、家財までカバーされていなかったりというケースがありますので、適切なリスクカバーという観点でみれば5年契約くらいがちょうど良いような感じもしますし、1年あたりの保険料は10年契約とほぼ変わりません。
そういう意味でいえば、契約期間が最長10年から最長5年に短縮されることについては契約者側へのデメリットはあまりないかもしれませんね。
事業者向けの火災保険は?
事業者向けの火災保険(一般物件、工場物件、倉庫物件)については、これまでも最長で5年契約であることがほとんどでしたので、今回の件はほぼ影響がないといえます。
ただ、一部の外資系損保会社はいまでも企業の火災保険について、長期契約についてはネガティブであり、日本社が5年契約できるケースでも3年契約とか1年契約しか引き受けない、というケースもあります(条件による)。
外資系損保会社は、大きな保険契約の決裁権限が本国にあるため、日本の自然災害リスクに対する評価が日本社とは異なるように思います。
もしかすると、日本の損保会社もそもそも株式会社でありますので、将来的には企業の火災保険について、一定の条件を満たす場合、契約期間の短縮に踏み切ることがあるかもしれませんね。
(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。