火災保険と動産総合保険の補償内容はほぼ同じ
自社の所有する設備等の偶然な損害をカバーするための保険として最もポピュラーなのは「火災保険」でしょう。
火災や台風等の自然災害などで損害を被った場合、その復旧費用が火災保険で補償されます。
自社の所有する設備等にかける保険としては「動産総合保険」もあり、補償内容も似ているため、「どう違うの」という疑問を持たれやすいところです。
↓火災保険と動産総合保険の一般的な補償内容の違い
火災保険 | 動産総合保険 | |
1.火災、落雷、破裂、爆発 | 〇 | 〇 |
2.風災、ひょう災、雪災 | 〇 | 〇 |
3.水災 | △ | △ |
4.電気的・機械的事故 | △ | △ |
5.破損、汚損等 | △ | 〇 |
〇・・基本補償
△・・オプションで付帯可能
基本補償で異なるのは、5.破損、汚損等のみで、動産総合保険は〇になっています。
ただ、△はオプションで補償対象にすることができますから、火災保険も動産総合保険も補償内容はほぼ合わせることが可能です。
何が違うのか?
違い(1)外に持ち出すかどうか
火災保険と動産総合保険の使い分けとしては、その保険対象物を外に持ち出すかどうかが一つのポイントです。
火災保険の場合は基本的に建物内収容物をカバーしますが、動産総合保険は敷地外運送中(携行中)もカバーすることができます。
(動産総合保険は「保管中のみ」「保管中・運送中」を選べる)
機械類やビデオカメラ、ドローンなど外に持ち出して使用する場合は動産総合保険が適しています。
違い(2)単品カバーができるのが動産総合保険
火災保険の場合、たとえば「建物内収容の設備什器一式」というようにその建物内の設備什器については基本的にすべて補償対象物としなければなりません。(例外もある)
一方、動産総合保険は対象物を特定して、それのみを補償対象とすることができます。
ですので、たとえば、設備什器一式については、火災保険で最低限の補償内容をカバーしつつ、高価で大事な特定の機械だけ動産総合保険で手厚い補償にしておく、という組み合わせも可能です。
違い(3)保険料率
保険会社目線でいえば、火災保険のように「設備什器一式」という保険の対象範囲にくらべ、動産総合保険は、契約者(または被保険者)が「これは保険を付けておきたい」と思うような保険の対象物を特定し補償をするもので、リスクは高いといえます。
したがって保険料率は一般的に動産総合保険の方が高くなるので、「設備什器一式」を保険の対象にするならば「火災保険」が適していますし、「特定の機械設備等」を保険の対象にするとか、補償を手厚くするならば「動産総合保険」が適しています。
違い(4)リース物件は動産総合保険でカバー
機械設備等のリース物件に対しては多くの場合「動産総合保険」が付帯されています。(ただし自動車は自動車保険)
リース物件の所有者はリース会社であり、リース物件は全国各地に所在することになりますから、どこにあっても補償される動産総合保険が活用されます。
火災保険では、基本的に自社の所有物を保険の対象にしますからリース物件は補償の対象にならないのです。保険料が無駄になってしまいますので、保険設計の際は、固定資産台帳からリース物件は除いて保険金額を設定しておく必要があります。
(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。