火災保険の対象物件を確認するなかで、「空調設備(エアコン)は保険上、建物か?設備か?」と疑問に思うことがあるかもしれません。
火災保険では、主に、①建物、②設備什器等、③商品・製品と分けて保険金額を設定しますが、所有資産のうち、建物に付属している設備については一般的に以下のように考えます。
建物に付属している設備が建物所有者のものなら、「建物」とする。
建物に付属している設備が賃借人(テナント)のものなら、「設備什器等」とする。
ただし、保険契約者・被保険者がテナントで、エアコンの室外機も所有している場合は、「屋外設備」として保険金額を設定していないと事故時に保険金が支払われないことがあります。
ほかにも、保険契約者・被保険者がテナントの場合で、建物の外側に看板を設置している場合、「屋外設備」として設定しておかなければならないケースもあります。(一部の保険では看板やインフラ設備については屋外設備として明記せずとも一定額まで補償してくれるものもある)
保険会社・保険商品によっても引受規定が異なる場合がありますし、屋外設備は自然災害で被災しやすいですから、事故時のトラブル回避のためにも保険設計にあたってはよく確認しておくべきです。
また、固定資産台帳にある「建物付属設備」も”設備”とあるので、間違いやすいかもしれませんが、上記のルールと同様に、建物所有者の資産としての「建物付属設備」であれば、「建物」として保険金額を設定します。
ちなみに、現在(2020年)は、火災保険の対象物件として建物でも設備什器等でも適用される保険料率はどの保険会社も同じになっていることがほとんどです。(10年程前は建物と設備什器等で料率が異なる場合があった)
したがって、保険金額の振り分けにおいて建物、設備什器等で少々間違っていても、契約保険料にさほど影響はしてきません。
しかしながら、設定する保険金額が間違っていた場合、とくに、保険金額が小額の場合、それを超える事故が起きると、設定していた保険金額以上には、保険金が支払われませんので注意が必要です。
屋外設備や、一部所在が異なる設備等については特に注意して十分な保険金額になるよう設計しておく必要があると思います。
保険代理店や保険会社にまかせっきりにせず、契約時には申込書や明細書をもう一度よく確認しておきましょう。
(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。