近年でいえば津波や大規模水害、地震の際、保険代理店そのもののBCPがクローズアップされるということがありました。
保険契約者(被保険者)が被災しているとき、同時に保険代理店も被災してしまい、十分な事故対応ができなくなる場合があります。
(BCPとはBusiness Contnuity Planの略で「事業継続計画」)
医者の不養生みたいなものかもしれませんが、顧客にはBCPの観点で保険を勧めておきながら、自社のBCPはお粗末だったとなると、「いざという時に頼れない」ということになりかねません。
保険は、代理店で申し込んで契約しても、結局は保険会社との約款に基づいた保険契約なので、大規模災害のときに代理店が機能していなくても保険証券等を見ながら保険会社と直接やり取りすれば済む、という考え方もあります。
最悪、代理店が潰れたからと言って保険契約が無効になるわけでもなく、場合によってはまったく支障がなかったということもありえます。
しかしながら、保険事故や保険金請求に慣れている人は少ないので、どうすればスムーズに、かつ不利にならないように保険金請求ができるのか、アドバイス及び安心を提供することが代理店の果たすべき責務ですね。
それらの意味で、保険代理店のBCPにおける重要事項とは以下のようなものになるでしょう。
・被災時でも保険事故対応が十分にできること。
・被災時でも必要な保険契約の更新やメンテナンスができること。
保険代理店は保険という無形物を扱いますので、物理的に事務所が被災したとしても事業継続はしやすい業種だと思います。事業継続に必要なリソースは、他業種に比べれば以下のように少ないのです。
・電気・インターネット・電話などの最低限のインフラ
・保険契約データ
・従業員
機械設備や車が必要なわけでもなく、保険会社そのものを除けばサプライチェーンもありません。
津波や噴火、地震、巨大台風、洪水、土砂崩れ、サイバー攻撃、火災、落雷など、具体的に事業の妨げになる事態を予測し、十分な対策を講じておく必要があるでしょう。
大規模災害で自社(代理店)が被災したときでも顧客へのサービスレベルが落ちない、十分分な態勢が整った代理店に保険契約を任せたいものですね。
(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。