神社・仏閣・歴史的建造物は建物評価や保険金額設定に誤りが多い
古くからある寺院や神社などでは、昔から檀家や信者の寄付・寄進等によってその施設が維持されてきました。
損害保険が日本に登場したのは明治時代ですから、寺院や神社などでも火災保険に加入するというのは明治時代以降ということになるでしょう。
特に最近は檀家の寺離れなどが進み、修繕費などが集まりにくくなっていると聞きますので、そういう意味でも寺院や神社が、突発的な施設損害に対応できるよう火災保険に加入することは一般的になってきているようです。
ただ、寺院や神社、歴史的建造物を対象として火災保険を付保する場合、その評価額が問題になりがちです。
一般の住宅や事業用物件と異なり、特殊な技術が用いられていたり、そもそも建築年代が古く、当時の建築価額が分からなかったりということがよくあります。
または当時の建築価額が分かる場合でも、当時と現在の金銭価値は違いますから、いまその物件と同等の建物を再築した場合の金額(再調達価額)がやはり分からないということもあります。
だいたいで保険金額を設定しているケースもありますが、妥当と思われる範囲の建物評価額から著しく低い保険金額で保険契約していた場合、実際の事故時には必要な修理金額が全然足りない、という事態にもつながります。
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台風によって500万円の修理代がかかった。
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しかし保険会社による建物の鑑定評価は1億円、保険金額の付保率は30%とされた。
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修理代500万円×付保率30%=支払保険金150万円。
保険金だけでは修理代に350万円の不足が生じてしまった。
不足分については自己資金や寄付・寄進等でカバーできれば良いのですが、自然災害などの突発的なリスクに対して保険をアテにしている場合、きちんとした評価のもと、保険金額を設定する必要があります。
ちなみに、火災保険金で修理代が十分まかなえて、さらに寄付・寄進によりいわゆる「焼け太り」してしまった場合、寄付・寄進は保険ではないので保険会社としては特に問題にしません。
保険会社(保険代理店)に鑑定評価を依頼しよう
保険会社では、正しい火災保険契約のために対象物件の鑑定評価サービスを用意しています。事故が起こってない平時の状態の物件鑑定を一般的に「平場鑑定」といい、資格をもった損害保険登録鑑定人が顧客から提供される資料(資産台帳、構内配置図など)等を参考に、実際の物件を見たり図ったり、諸々の調査を経て新価額(再調達価額)および時価額の評価をしてくれます。
対象物件の規模にもよりますが、通常は数十万円~と有料でサービス提供しています。
有料というと評価を依頼するのにためらってしまいますが、日新火災では、2017年10月から火災保険に「神社仏閣プラン」を新設し、寺院・神社については無料で対象物件の評価をしてくれるようになっています。保険に加入することが前提になりますので、事前に保険料水準が他社に比べて高すぎないかも念のため確認しておくとよいでしょう。
日新火災の「神社仏閣プラン」では、樹木が台風などで倒木した場合の撤去費用や、お賽銭が盗難された場合も保険の対象にすることができます。この辺りがおしゃれですね(表現がアレですが・・)。
寺院・神社でない場合、平場鑑定は必ず有料になるかというとそうでもなく、保険契約の規模や過去の事故歴などから無料で行ってくれる場合や、一部負担で済む場合もありますので、保険会社や保険代理店に相談してみるようにしましょう。
保険料は比較するとけっこう違う
火災保険料は比較をしてみると保険会社により差がでます。ちなみに以下の条件にて見積もりをしてみましょう。
<条件>
東京都 木造建物(神社仏閣)3級 評価額1億円 保険金額1億円 保険期間1年間 保険料年一括払い 補償内容:火災、落雷、破裂・爆発、風災、ひょう災、雪災(※風災、ひょう災、雪災はフランチャイズ免責20万円) 臨費、残存物取片付費用、修理付帯費用、失火見舞費用、地震火災費用 2018.8試算
A社 年間保険料159,490円
B社 年間保険料171,170円
C社 年間保険料171,000円
若干の差がでました。
これはいわゆる定価の保険料になりますが、保険契約規模や、防災状況、過去の事故歴などによっては、さらに割引が適用できる場合があり、大きな保険料差になることもあります。
(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。