【賠償責任保険】法律上の賠償責任といいますが、誰が判断するのですか?

法律上の賠償責任
目次

賠償責任保険は種類が多い・・

賠償責任保険というと様々な種類があります。カバーするリスクや業種等に応じて個別の賠償責任保険が用意されており、適切な賠償責任保険を選択する必要があります。

▼賠償責任保険の例
・施設賠償責任保険
・昇降機賠償責任保険
・生産物賠償責任保険(PL保険)
・海外PL保険
・請負業者賠償責任保険
・受託者賠償責任保険
・自動車管理者賠償責任保険
・個人情報漏えい保険
・サイバーリスク保険
・会社役員賠償責任保険
・専門業者賠償責任保険
・E&O保険
・運送業者賠償責任保険
・使用者賠償責任保険
・医師賠償責任保険
・環境汚染賠償責任保険
・IT事業者賠償責任保険
・油濁賠償責任保険
・個人賠償責任保険
・自動車損害賠償責任保険(自賠責)
etc…

また、賠償責任保険は財物系など他の保険の特約になっていたり、複数の賠償責任保険を組み合わせて、その保険会社独自のパッケージ商品になっていて独自の商品名がついていたりするので、一般の方には大変分かりにくい分野かもしれません。

このように賠償責任保険と一口にいってもかなりの商品数になるので、生命保険に比べて損害保険の種類が多くなる所以のひとつでしょう。

ただし、損害保険業界の方以外は当然、全体像を把握する必要もなく、自社のリスクに合わせて適切なものを選択すればよいだけなので、難しく考える必要はありません。保険会社や保険代理店にカバーしたいリスクについて相談し、どの保険がフィットするか提案してもらえばよいと思います。

また、基本的には、各保険は補償が重ならないようになっており(保険の分野調整)、複数の賠償責任保険に加入している場合でも、一つの事故に対して、複数の保険が適用されるということはありません

たとえば、飲食店にて以下2つの賠償責任保険に加入しているとします。

・施設賠償責任保険
・生産物賠償責任保険(PL保険)

提供する食事を店員が誤ってこぼし、客の衣服を汚した場合は、業務遂行上の過失として「施設賠償責任保険」の範疇になります。

提供する食事を食べた客が食中毒を起こした場合は、提供した食事そのものに欠陥があったとして「生産物賠償責任保険」の範疇になります。

 

法律上の賠償責任は誰が判断するのか?

賠償責任保険は一般的に、被保険者が事故により、他人の身体の障害または財物の損壊について、法律上の賠償責任を負担することによって被る損害に対して、保険金を支払う、となっています。

民法709条「不法行為による損害賠償」には、

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

とあります。

過失とは、予見可能な結果について結果回避義務の違反があったことをいい、逆にいえば予見が不可能な場合や、予見が可能であっても結果の回避が不可能な場合には過失を認めることができない、というのが基本的な考え方とされています。

故意に他人に損害を与えた場合は、(通常)保険金支払対象にはなりませんが、過失によって他人の権利侵害をしてしまった場合、賠償責任保険の保険金支払対象になり得る、ということになります。

「法律上」というと賠償事故があった場合、その都度裁判によって他人の権利侵害があったなど判断を求めるかというとそうではなく、過去の判例などを基にして、保険会社は法律上の賠償責任の有無や過失割合を検討し、賠償責任保険金を支払うかどうかを判断します。

相手のある事故があるたびに裁判をしていたらキリがないですよね。。

保険会社は事故状況について確認し、顧客(被保険者)に過失があったと認定すれば、相手側の損害について金額査定を行い、賠償責任保険金を支払い、事案解決に至ります。

なお、賠償責任保険は自動車保険と違って、(一部の保険を除き)一般的に保険会社による示談交渉サービスはありません。保険会社や保険代理店などのサポートを得ながら、基本的には当事者同士で連絡を取り合い、解決していく必要があります。ただし、こじれる場合は弁護士等を活用することになります。

軽度な物損事故で、顧客(被保険者)に100%の過失があると顧客(被保険者)も保険会社も認めている場合は比較的スムーズに話が進みますが、相手側にも過失割合がある場合などは解決までに時間がかかってしまうこともあります。

賠償事故の場合、相手側の心象にも配慮しなければなりませんので、その進め方によって解決までの時間が大幅に変わってくることもあります。賠償事故が起きた場合には保険会社・保険代理店などとよく相談しながら慎重に真摯に対応していくことが大事です。

賠償責任保険の機能は保険金を払うということだけでなく、事故時に相談できる先が確保されていることもメリットのひとつかと思います。

 


(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。個別具体的な保険契約内容についてはパンフレットや重要事項説明書、約款等をご確認いただくか、保険代理店または保険会社へお問い合わせください。


 

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