確定精算の考え方
損害保険契約には「確定精算」をする契約方式があります。
損害保険契約時には、必ず、保険料を算出するための「保険料算出基礎数値」というものを確認し、算出基礎数値に基づいて保険料が計算される仕組みになっています。
▼算出基礎数値の例
(※保険会社、保険商品によっても算出基礎はそれぞれですので契約の都度ご確認ください。)
たとえば、売上高を保険料算出基礎数値とする場合、保険契約時には保険期間に応じた売上高がまだ決まっていませんので、暫定(見込み)の数値をもって保険料を算出し「暫定保険料」として契約します。そして、保険満期後に実際の売上高をもって「確定保険料」を算出、暫定保険料との差額を精算する、という手続きになります。
平均被用者数や、年間輸送高なども契約時点では保険期間に応じた数値が未確定ですので、確定精算方式で契約することがあります。
火災保険契約でも保険期間中に追加になった物件は一定額まで保険期間中は手続きをしなくても自動補償されますが、満期後に追加になった分について確定精算を行うタイプの商品もあります。
一方、面積を保険料算出基礎とする場合は物件を変更(増築など)しない限り保険期間中に変動しないものなので確定精算手続きはありません。
確定精算方式はだんだんなくなってきている
上記のような理由で行う確定精算手続きですが、シンプル化の流れもあってだんだんと「確定保険料方式(確定精算不要方式)」に切り替わってきています。
確定精算していた契約を更新のタイミングで確定保険料方式に切り替えるには、把握可能な直近会計年度や、直近月末などのの売上高や、平均被用者数、平均在庫高などをもって確定保険料として契約することができます。
ほとんどの損害保険商品で、確定保険料方式に切り替えることが可能ですが、契約者のなかには、「これは確定精算するもの」という固定観念があって、保険取扱者から案内をしないと、確定保険料方式に切り替えることができることに気づいていない場合もあります。
契約者としても実は確定精算が面倒だと思っていたりするので、確定保険料方式に切り替えてお互いに事務効率が上がっていくと良いですね。
保険会社としても、保険料算出基礎に毎年大きな変動がない場合は、できるだけ確定精算をしないよう契約者にも推奨しています。
確定精算手続きをするとその分の書類や保険料のやり取りが発生し、1契約につき最低2回手続きが必要になることや、保険代理店が確定精算手続きをし忘れてしまう、という問題もあります。保険商品としてそもそも確定精算がないタイプの商品も増えてきています。
よっぽど、売上高等の保険料算出基礎数値が毎年変動するとか、保険期間に応じた保険料負担にしておきたいという希望がなければ、確定保険料方式にしておくことをおすすめしたいです。
(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。