海外出張時の保険は海外旅行保険だけでは不足がある
仕事で海外出張がある場合、保険はどのように手配していますでしょうか?
・空港で加入する
・予めネットなどで加入しておく
・旅行代理店で加入する
・会社で自動的に加入してくれている
・加入しない
海外出張の多い企業では「企業包括」として海外出張に行く方全員を予め定めたプランにて海外旅行保険に加入する方法をとっていることが多いかと思います。
それでは、その海外旅行保険の内容をどこまで把握していますでしょうか?
海外旅行保険は、保険責任期間中(保険証券記載の海外旅行の目的をもって住居を出発してから住居に帰着するまで)にケガをしたり病気になったり、携行品損害にあったり、賠償事故を起こしてしまったりした場合に被る損害をカバーするための保険です。
このうち、「賠償責任」の内容に着目してみたいと思います。
これは企業の海外旅行保険を手配する担当者も、出張者も勘違いしやすいところですが、実は仕事中に起こしてしまった賠償事故は、海外旅行保険ではカバーされないことがあります。
一般的に、海外旅行保険の「保険金をお支払いしない場合」には、被保険者の職務遂行に直接起因する損害賠償責任という事項があります。
つまり、職務遂行中(仕事中)に起こした対人・対物事故については保険金支払対象外となってしまうのです。
例)
・商談先企業の工場視察中に機械操作を誤ってしまい第三者にケガを負わせてしまった。
・商談先企業の応接室で誤って高価な花瓶を割ってしまった。
→いずれも海外旅行保険の賠償責任補償では対象外になる可能性が高い。
海外での業務遂行中の賠償責任保険はどうしたらいい?
業務遂行中の対人・対物事故といえば、「施設賠償責任保険」を考える方もいると思いますが、施設賠償責任保険は一般的に日本国内での賠償事故(日本国内で提起された損害賠償請求)について補償する内容になっています。
損害保険は基本的に現地主義とよく言われますが、現地のリスクをカバーする場合、現地の損害保険会社で保険に加入する必要があるとされます。
ただし、日本の保険会社でも一部の賠償責任保険商品で海外での商談や見本市など危険度の低い業務については業務遂行中の賠償事故も補償できるものも出てきました。
海外での仕事がある場合は、海外旅行保険だけでは不足する場合がある、ということを少なくとも認識し、必要があれば、適切な保険手配を検討すると良いと思います。
(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。