日本で営業する損害保険会社が会員となっている日本損害保険協会では、保険契約者と保険会社との間でのもめごと仲裁を目的として、「そんぽADR」を運営しています。
そんぽADR(裁判外紛争解決手続)は、保険会社からの支払保険金の回答に納得できなかったり、保険会社の対応の悪さに納得できない場合など、裁判に至る前の相談窓口という位置づけです。
※ADR=Alternative(代替) Dispute(紛争) Resolution(解決)
3/31の保険毎日新聞に2019年10月~12月までの保険契約者と保険会社の代表的な紛争事例の一部が紹介されておりましたので簡単にまとめておきます。
保険種類 | カテゴリ | あらまし | 結果 |
自動車保険 | 契約の管理・保全 | 代理店に解約検討すると連絡したが、代理店は具体的な解約日が決まったらまた連絡ください、とし契約者側からその後連絡がなかったため解約がなされず、無駄な保険料が生じた。 | 申立て取下げ |
自動車保険 | 契約の管理・保全 | 法人契約者の代表者が元妻との離婚に際し車を譲渡。等級継承ルールの説明を受けたうえで解約、等級は元妻に移ったがこれを不服としたもの。 | 和解見込みなし |
自動車保険 | 契約の管理・保全 | 複数台のうち1台の契約継続漏れ。1年後に問題化し等級引継ぎができず。契約者は継続の意思があったというが代理店は他代理店で契約すると聞いていたと。 | 和解見込みなし |
自動車保険 | 契約の管理・保全 | 小さな人身事故で、保険会社より「自賠責の範囲内で対応できると思う」との案内に基づいて事故処理したが自賠責対象外の費用について保険会社が契約者の意思確認をせず任意保険から支払い、等級ダウンにつながった。保険会社が対応の不適切さを認め、自賠責対象外の費用は契約者が自己負担、等級は戻すことで合意。 | 和解 |
自動車保険 | 契約の管理・保全 | 他代理店・他社への切り替えの際、解約日が正確に伝わらず、正しく等級継承ができなかった。事情を確認、他社始期日へ遡って解約手続きをし等級継承することで合意。 | 和解 |
自動車保険 | 契約の管理・保全 | 複数年間、自動車保険の継続手続きができておらず、無用な支出が生じた。継続不備は保険会社・代理店に責任があるとして保険会社は一定の和解金を支払うことで合意。 | 和解 |
自動車保険 | 契約の管理・保全 | 代理店の対応の悪さから解約を申し出たが、解約に伴う追加保険料の支払いに納得できず相談。保険期間と解約日の関係で追加保険料が生じることは妥当で、契約者に意見を求めたが期限までに応じず。 | 和解見込みなし |
自動車保険 | 保険金支払い | ゴルフカートから降りる際、水たまりに足をとられ負傷。保険会社はカートの運行と直接の因果関係なしとして保険金支払いに応じず。契約者は水たまりのような危険な場所に停止したことは運行上のことと主張したが合意に至らず。 | 和解見込みなし |
自動車保険 | 保険金支払い | バイクで自損事故を起こしケガをしたというが事故から1年以上経過しての請求、事故時には息ができない程の痛みがあったというが事故日から初診日まで日があいていること、目撃者もなくバイクに転倒時の傷もほぼなく、症状の腰椎椎間板ヘルニアについても他事故でも主張している等のことから当該事故との関係性は認められないとして保険会社は保険金支払いに応じず。 | 和解見込みなし |
自動車保険 | 保険金支払い | バイク転倒による負傷で後遺障害となったが保険会社は治療期間と後遺障害等級を当初認めなかった。資料等を精査した結果、保険会社は契約者の申し出通りに保険金を支払うことで合意 | 和解 |
手続き上の意思疎通の問題、事故状況確認上の問題、なかには保険金詐欺のようなものもあります。
そんぽADRに相談しても和解に至らないケースもありますが、訴訟前の相談窓口、またはやりきれない不満を受け止めてくれる機関として一定の機能を果たしているのだろうと思います。
(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。