PL保険の対象の範囲を限定するケース
プロダクトの製造業者、飲食店、または工事業者等なら提供物(製品、飲食物、施工)の欠陥に起因した対人・対物事故に備えて加入するPL保険。
ときどき「PL保険の対象の範囲を限定することはできますか?」と質問をいただくことがあります。
会社としてリスクを感じる製品等にギャップがあり、PL保険を付保したいものと、そうでないものがあるということでしょう。
不要と感じる保険には保険料を支払いたくないですよね。
または、取引先から特定の製品についてPL保険の付保要請があり、取引のためにその製品群のみPL保険への加入ニーズが生じることもあります。
いくつかの保険会社や保険商品ではPL保険の対象の範囲を「その会社が製造・販売または仕事の結果すべて」としなくてはならない場合もありますが、一般的にPL保険はその対象の範囲を限定することが可能です。
例えば。
・B製品群 → PL保険の対象外
また、たとえば、海外への輸出製品に対する海外PL保険の場合、エリアを分けて海外PL保険の対象の範囲を限定することもできます
・アジア向け → PL保険の対象外
など
または、取引先からの要請でPL保険の保険金額を「〇億円以上」と指定されることもあります。
その場合、現状で付保しているPL保険で不足する分について、ベースに上乗せする形で別途PL保険を契約し要請のあった保険金額を用意することも可能です。
保険金額が要件を満たしていることを証明するための付保証明書(契約証明書)等を発行することを考えれば、この場合、上乗せ分についてはベースの保険会社と同じにしておく方が良いかもしれません。
レアケースで、一定の保険料(数百万円~等)があるようなPL保険の場合、その保険契約のオリジナル特約として、「〇〇(取引先)からの賠償請求に関しては〇〇億円を支払限度とする」というようなアレンジが可能な場合もあります。
保険会社も得意先に対しては融通しその保険契約のオリジナル特約を作成してくれる場合があるのですね。
PL保険の対象の範囲を限定する場合の注意点
PL保険の対象の範囲を限定する場合、事故時にPL保険の対象になるかどうかを客観的に判断できるよう保険証券にきちんと記載されている必要があります。
もし保険の対象の範囲が曖昧だと、事故の時に支払トラブルになったり、確認や打ち合わせのため、保険金査定に時間がかかってしまいます。
PL保険を契約するときは代理店や保険会社の営業担当者、引受部門だったりが関係しますが、事故時に対応する保険会社は事故対応の部署になりますので、契約時の細かいいきさつは分からず、保険証券に記載されている内容をベースに保険金の支払対象になるかどうかを判断します。(代理店や引受部門もサポートに入りますが)
また、代理店の担当者、保険会社の引受部門の担当者もいずれ異動があったり、お客様側の担当者もいずれは交代となります。
したがって、申込書または保険証券には、事故時に誰がみても保険の対象の範囲が分かるよう記載されている必要があります。
(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。