代位求償権不行使とは
「保険の代位求償権不行使特約って何ですか?」と聞かれることがあります。
特に外資系企業との取引の際に「保険に代位求償権不行使特約を付けてください」と要請されることが増えているようです。
火災保険における代位求償権不行使とは、第三者による事故により保険会社が保険金を支払った場合でも、保険会社はその第三者に求償を行わないというものです。
通常、保険会社が保険金を支払った場合、その事故の原因者が判明していれば、保険会社はその原因者に対して「支払った保険金のうち賠償義務相当額について弁済ください」と求償を行いますが、契約している火災保険に代位求償権不行使特約が付帯されていれば、保険会社は原因者に求償を行いません。
支払った分の保険金を事故の原因者から回収できないわけですから保険会社は損をすることになりますので、代位求償権不行使特約を付帯する場合は、一般的に数%~20%程度の割増保険料がかかります。
代位求償権不行使特約を付帯するメリット
たとえば不動産賃貸業でテナントの過失により建物に損害が生じた場合。
原因者はテナントですから復旧費用についてはテナントに賠償義務があります。
ケースバイケースですが、そのテナントが契約者にとって重要な取引先だとすれば、状況によってはテナントに請求しづらいこともあるでしょう。
そういった場合に契約者の火災保険が使えて、代位求償権不行使特約が付帯されていれば、テナントとの関係悪化も防げるというわけです。
その分、契約者は代位求償権不行使特約に対する割増保険料を支払っているし、保険金支払い後の更新契約については保険料UPの要因にもなる、ということです。
なお、代位求償権不行使特約(保険会社、保険商品によって名称が異なる)は、火災保険のみならず、運送保険や賠償責任保険などにも付帯できる場合が多くなっております。
(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。