日本損害保険協会発行、「日本の損害保険 ファクトブック2018」では、損保業界における3年ごと中期基本計画が公表されています。
2020年のいま、改めて進捗等を確認してたいと思います。
日本損害保険協会とは
最初にその元となる団体が設立されたのは1917年。何度か改廃されながらも100年以上にわたり、日本の損害保険やリスクマネジメントを推進。各損保会社が会員となっており、従業員は250名ほど。
↓以下は、協会のコメントではなくわたしのコメントですので、念のためご注意ください。
技術革新への対応
クルマの自動運転に対して、自動車(部品)メーカーの責任で事故が起きたとしてもそのクルマに付保されていた自動車保険で被害者を救済できるような特約が既に開発、保険契約者に提供されています。
【自動車保険】事故時に自動的に保険会社から連絡が来るようになる?でもご紹介しましたが、事故時に自動的に保険会社とつながるドライブレコーダーもでていますし、自動車以外でも、ドローンに対する保険やAI、RPA(Robotic Process Automation)を活用した事務高速化、事故対応、など無駄を省きつつ、安心・安全・快適な社会を損保という視点から支えていこう、という主旨でしょう。
多様化・巨大化するリスクへの対応
温暖化の影響なのか、台風・ハリケーンなどの自然災害が巨大化しており、損害保険会社はこれまで以上に早く、正確に保険金支払を進めていくことが求められています。
また、不正アクセスなどのサイバー犯罪も進化しておりますが、事故が起きた場合、保険会社を通じて即座に専門家に相談できるような保険商品付帯サービスも出てきています。
超高齢化など社会環境変化への対応
超高齢化社会は日本ではどうしようもない社会現象ですが、たとえば徘徊してしまう認知症の方が列車の線路に立ち往生して電車の運行を妨げた等の場合、その損害賠償に対応するよう個人賠償責任保険がアップデートされたりしております。
保険会社・代理店の業務品質の向上
これまでは金融庁が保険会社を監督し、保険会社が代理店の保険募集態勢について監督するというような役割でしたが、大規模代理店については保険会社だけでなく金融庁が直接アプローチするなど代理店の監督についても少しずつ厳しさを増しています。
大企業などに多い、本業の傍ら副業的に行っている保険代理店などは保険募集の品質が劣るとして保険会社により段階的に淘汰または統合されていっているようです。
お客さまのリスク意識の啓発
保険契約者にとって保険は難しい、よく分からない、という意識がおそらく大勢ではないでしょうか。損保協会では防災関連のイベントを行ったり、保険商品を通じて、より安心・安全な社会に資する、ということでしょう。
お客さまとの対話強化
クレームとか疑問への対応、ということでしょう。保険代理店としては十分な説明や保険の早期更改などの対応を強化しなければなりません。
大規模地震の発生に備えた体制整備
首都圏直下地震や南海トラフに備えるということでしょうが、2018年~2019年にも災害が多発したことで、事故対応の根本的なスピードが改善されたりしています。
しかしながら、それぞれの経済損害が数百兆円にもなると言われている二つの地震に対して、まだまだ十分な対応ができる能力は備わっていないと思います。
ちょっと敵がでか過ぎますかね。
これは個々の企業、個人レベルでもある程度の想定をしておく必要があるでしょう。行政、政府、保険会社は頼れない状況を想像しておく必要があると思います。
不正請求防止対策の強化
保険金詐欺は犯罪です。たとえ成功しなくても不正に保険金を請求しようとしただけでアウトです。
保険会社ではブラックリストとして管理しています。
そもそもモラルの欠如した人だったり、経済的に困窮している人が、わざと自分の家に火をつけたりすることもよくあるようです。
国際基準への適切な対応
人口減少等により国内損保市場は横ばいか縮小傾向なので、保険会社も海外に目を向け海外事業による収益増が目立ってきています。
各国市場における競争条件の公正・公平化への対応
各国はそれぞれ自国の産業・企業を守ろうとしますから、特にアジア圏における日本の損保会社は黒船のような存在なのかもしれません。
新興国市場に対する各種支援の強化
とはいえ、アジア圏ではまだまだ保険は成長過程であり、未熟な部分もあるので、Win-Winを図りながら健全な成長に寄与する、という意味でしょう。
(注)記載のある各保険については一般的な内容の説明です。